世界が変わる

単なる里帰り出産のはずが、まるで疎開の様相を呈してきました。

実家でのわたしの自室は2階にあるけど、おなかちゃんを抱いて日に何度も階段を昇降するのは危なそうだし、それにわたしの自室の隣には、勤め人である姉の部屋となっていて、夜泣きの声で彼女の不眠を誘わないように、おなかちゃんが産まれてからは、ずっと1階の和室(客間)がわたしの部屋です。ここなら、家族の寝室すべてから離れているので、おなかちゃんが一晩中泣き叫んでも、誰に気兼ねすることもない。ただ、おなかちゃんは赤ちゃんだから仕方ないけど、1時間も2時間も3時間も4時間も、泣き通しで眠ってくれない晩は、夜が長くて蛍光灯の灯りが眩し過ぎて、おなかちゃんを抱っこしたまま途方に暮れます。そして、昼間観ていたテレビのニュースを思い出す。両腕のなかで猫のように眠りかけたり起きたりしているおなかちゃんの存在に わたしは全責任を持っているのに、よりによって今、こんなにも不安で責任の取れない世界に おなかちゃんを産み出してしまった!良かったのだろうか、良くないのではないだろうか、多分良くないに違いない、自問している。枝野氏でも NHKでも CNNでも Googleニュースのヘッドラインでも何でもいいから、誰かわたしを安心させてくれよ。実家の家族は「不安になるニュースはなるべく見ないほうがいい」なんてわたしに言うけど、わたしが帰るべきほんとうの家で、自分の家族と生活を守っていくためには こわくてもしっかり見なければいけない。けれど、地震、そして何より原発の情報を追いながら、冷静な精神を保つことは難しい。大学入学で上京した、春の東京が大好きです。気候は暖かく 桜が咲いて はじめて制服以外のスーツを着込んで 沢山の出会いと希望に満ちていた、春の東京が今でもずっと好き。テレビでインタビューに応える東北の被災者の方々は、これほどの被害に遭っているのに、みんな美しく謙虚な言葉で話す。そして おばあさんもおばさんも、多くの女性の顔が 穏やかで慈しみ深くきれいだな、と思う。こどもたちの笑顔も可愛い。この深刻で辛い状況が、少しでも、一刻でも早く改善されるよう願います。原発の影響が最小限となることも。沢山のおなかちゃんたちの、未来が守られるよう祈ります。