まるさ、という美意識

今週は 仕事がまったく忙しくなくて、とても平和。満員の通勤電車の中で「リーマンが破綻してからずっと対応に追われてて、ま だ 一 睡 も し て な い 」とメールを打っている女性もいたけど(あまりにも混んでいた為に、液晶画面が眼の前にあり、読んでしまった)。ほんとうなら凄すぎる。職場での わたしの自由度、体力温存度を分けてあげたい。

仕事中 ニュースサイトの更新で、野田凪さんの訃報を知る。ひどくショック。ファンではないけれど 彼女が00年代/東京のポップ・イコンであったことは間違いない。

90年代が渋谷・代官山だとしたら、00年代のそれは三宿と中目で、(この言い方って大っきらいだけど)「渋谷系」と、括られてしまえる前者と違って、00年代の今はそんなふうに呼べるほどの強さもない。00年代や三宿や中目には、アートが、クリエイターが、ディレクションが、レセプションが、と よくわからないけれど耳触りだけはふわふわとした、実態のない言葉を羅列すると、とてもよく似合う。「東京のリアル」と呼ぶにふさわしいひとであった、という印象。合掌。

↑これも彼女の作品。馬とかライオンとか色々ある。

夜はたのしい美容院へ。幼い頃からまったく変化のない「いつものロングヘアー」を、普段より5cmばかり短くしてみた。気に入るも気に入らないも、他人から見たら見た目にはまったく変化がないのだろうけど、わたしは長い髪が極度に好きなので(‥‥短すぎる)と感じてしまう。この日はWRも髪を切って帰ってきたので、家の中にショートのマッシュルームとロングのマッシュルーム、2つのマッシュルームがつやつやと揃い踏みした。「WR、頭がまるくなって可愛いね」「まるいのは君だよ」「いや、君がまるいのさー」「君こそまるいさー」と 互いのヘアカットを賞賛しあう。

WRは 2日と空けず、スタジオに入ってドラムの個人練習をやっている。練習時間は真夜中なので、わたしは起きて待っていられたことがない。たいてい先に眠ってしまう。WRが練習に出掛ける時間まで、またも ねこ人形で遊び戯れる。かわうそ人形(うそんこ という名前)もいるので、登場人物はいつも3人。以前、盲目になった ねんねこ が、ともだちの ねこんこ を探し歩く話になったり、あるいは ねんねこ に「ふとってるね」と言われた うそんこ が、断食をしすぎて拒食症になる話になったとき、WRが「かわいそうだからこんな話やめようよ」と言ったので、この日は、ねこたちとかわうそが道で出会って、一緒にコンビニで買い物をしたあと“つむぎ公園”でお菓子を食べる、というきわめて牧歌的なストーリーが展開したのだけど、今度は「ねぇ この話って、あまりにも漫然としすぎじゃない?」と言われてしまった。こういうのは、何も起きないところがいいのに。

今、台風の進路がとても気掛かり。自分で用意周到と思っているタイプほど、天候や予測不能な体調の変化など 人智ではどうにもできない部分に振り回されることに弱いのではないか。わたしはそう。台風の進路が気掛かりすぎて、しかも悪い予想が当たりそうで、胃がいたい。