バースデイ 3日はやい

土曜日の正午。丸ビル正面入口の 恐竜の骨の展示物の前で待ち合わせ。この日は少し早目にスケジューリングした、友紀ちゃんのお誕生日ランチ。一週間前までに買い揃えていた、ささやかなプレゼントの包みを持って、わくわくと待つ。今日の予約は丸ビル35階のフレンチレストラン「オザミトーキョー」。リーズナブルだしいつ行っても女のひとがいっぱいでカジュアルなところがいい。この日もフレンチレストランらしい静寂は皆無で、同窓会のマダムたちを中心に、まるでビストロの賑やかさ。昼からシャンパーニュと白ワインを飲み、ちょっと良い気分で昂揚しつつ、恋愛の話などに終始する。いちばんコンパクトなコース料理を注文した為、満足できるか心配だったけれど、メインの鴨が出てきた時点ですでにおなかはいっぱい。それでも美味しいから結局はペロリとぜんぶ平らげたけど。恋愛の話は、照準が定まっている場合より、そうでない場合の方が、如何様にも真理をつけるし、盛り上がってしまうものかもしれない。わたしにも彼女にも、よりよい恋愛がやって来るといい。どうせまた狂ったようにあたたかい季節が来るなら。デザートのガトーショコラが サーブされてくるその前に、友紀ちゃんがギャルソンに「一皿分だけ、生クリームは不要で」と耳打ちしてくれた。本人でさえぼーっとしていたのに、わたしの生クリーム嫌いを事細かに熟知している彼女にあらためて敬服。フレンチは焼肉よりステーキより凶悪な料理だと、フルコースを胃に収めてようやく珈琲が出てきたとき、いつも感じる。血の滴るような凶暴な豪華さがある。やはり、こういう料理を前にすれば、会社や家庭のせせこましい話よりも、恋愛の話に花が咲くのも頷けるという話。

オザミトーキョー(丸ビル店)
http://www.auxamis.com/tokyo/

食後は、丸ビルの中に入っているお店をぶらぶらと散策してから有楽町方面まで散策し、また珈琲。スターバックスで喋る。隣の席の男性が、ブックカバーもつけないで「リーブ21 あなたの髪も生き返る」とかいう緑色の表紙の本の背を立てながら熟読していたので、驚く。そしてギャグのようだけど、次に鞄から取り出した本も「髪で悩むあなたへ」というタイトルだった。悪気はないけど、思わず髪の毛をまじまじと見つめずにはいられない。固定させた視線をこっそり横にずらして頭髪を確認するわたしたちの動きも相当不自然だっただろうけど、その頭髪も負けず劣らず不自然だった。薄毛の頭を隠す前に、本の表紙をカバーで隠せよ。誕生日プレゼントを渡して、キャッキャッと可愛く騒いでいる横で、ああ 驚いた。二昔前にテレビで流行った「どっきりカメラ」のよう。シチュエーションが地味すぎるけど。

夕方までゆっくり喋って帰宅。入れ替わるようにWRは外出中の様子。ちょいと眠る。フレンチで拡充した胃を休める為に、きのうのキムチ鍋の残りのスープで雑炊を作成。幸せな気分で就寝。