みんなの 服を 買いに

WRに促されて 9:00に起床。しかし、眠い。眠い眠い。あまりにも眠すぎる。

普段 日記を読んでくれている友人たちに「雪の休日は ほんとうにいつも眠ってばかり」と呆れられているけれども、これには深い事情があって、わたしは平日・毎朝5時半に起きているのだ。わたしは特に家が朝採り農家とか、あるいは高尾から都内に通勤している、一家を背負った50歳の親父とかではないので、冷静に考えると何も5時半に起きる必要はまったくないのだけど、元々の性格が 心配性のレベルをとっくに超えた心配性であることと、急いだり慌てたりするのが嫌い、ついでにいちばん混む時間の電車に乗りたくないが為に、こんな時間に起床して シャワーを浴びてシャンプーをして優雅にお化粧するのがしぜんに癖になってしまった。平日は5時間か6時間しか眠れないので、毎日2時間ずつ睡眠不足が蓄積するので、わたしはどうしても 土日で平日に累計した10時間の睡眠不足を補わなくてはいけなくなるのだ。

WRは平日は決まって7時に起きるので、土日はわたしより早く起きる。たとえ遊びに行くためであっても、ここで早く起こされるのはほんとうに辛い。辛いというより、もはや苦しい。苦しいし、休日に限っては 起きてすぐに朝の身支度に取り掛かることも ほんとうに苦行中の苦行だ。平日は 心を殺して起床して準備をしている。休日にも 同じように機械的な行動様式をなぞるのは、ほんうにほんとうにほんとうに苦しい。あまり信じてもらえないかもしれないけれど、わたしの人生は 登校拒否とひきこもりの連続だった。こんなひとが幼稚園から大学まで、ひとつひとつ積み重ねて卒業できたことがまるで夢みたい。今の会社勤めだって根本は同じで、すべての煩悩に蓋をして5時半に起き、機械的に出動している。5時半に起きられない朝がいつかきたら、そのまま二度と会社に行けなくなる気がしている。だから わたしは誰よりも 休日は自分の眼が自動的に覚めるまでは、毛布に包まって眠っていたい。

というわけで、朝起こされたとき 寝室のデジタル時計が8:54だったので「おねがい せめて9時までは寝てていい」と二度寝させてもらって、次に目を覚ましたとき まだ時計が8:54のままだったので「アー、じつは全然寝てないんだ テヘヘ」と思って隣の部屋の時計をみたら、10:49とかだった。寝室の時計が止まってた。驚くべきことに、ねぼすけのわたしを起こしたWRも、彼は早くに起きてシャワーして洗濯して勉強していたのだけど、それでもまだ8:54だと思い込んでいたことだ。WRは 浮世離れしすぎている。今日はお買い物の予定があったので、慌てて支度をして お昼すぎに家を出た。天気予報を見たWRの予報に従って、空は晴れているのに雨傘を持って出る。

まず新宿に行って、WRのクールズビ用に スーツの下部分だけを購入。クールズビなので、仕立てではなく既製服を購入。スーツ売場のイケメンスーツが、WRが試着したパンツを見て「ヒップが心持きついかも」「ヒップが若干目立ちますね」と、暗に執拗にお尻プリプリ疑惑をかけてくるので「このサイズで良い」と思っていたWRが涙目になっていた。イケメンスーツは、1サイズ上げると今度はウエストや足がだぼだぼになるというので、わたしもWRも「だったらこれで良いのでは」と思うしどちらかにするしか選択肢はないのに、それでもイケメンはまだ「床に落とした書類を拾おうとした瞬間なんかに、ビリっといっちゃうかも」などと、自ら床にかがむジェスチャーをしてまで 恐ろしくありえないことを言う。わたしも、お尻プリプリの男性には結構厳しくて、そういうひとを見ると凄く気になる方だけど、WRは とくにお尻プリプリな方などではないのだ。結局、イケメンには最後まで「お尻プリプリになりますけど、それ以外はさいこうです」と言われながら、スーツの下部分を購入。大体、床に落とした書類を拾う瞬間にまっぷたつに裂けるスーツって、例え 高木ブーの一発ギャグでも、通常ありえない展開だ。そもそも、WRのパンツは、ピチピチでもプリプリでもなく、どう見てもふつうにジャストサイズだったのに。ひとのお尻をプリプリにしないと気が済まない店員だとしか思えない。とにかくサッサとスーツを買って、次はまるみちゃんのお洋服を買うため、浅草へ行く。

浅草は、上野や川崎と同じで、わたしたちを落ち着かなくさせる街だ。一応セオリー通り、仲見世通りを歩いてみたけど、観光地的な賑わいというよりは、単に東京の東側特有の妙な磁場にやられて途中でメイン通りを離脱。通りかかったお店で昼食を食べる。おなかに とても 重たい。食後に ひっきりなしにホームレスが往来する通りに面したカフェのオープンスペースで珈琲を飲んでいると、予報通り 大雨が降ってきた。雨粒がどんどん大きくなる。傘のない観光客たちが、頭にハンカチを乗せて、アーケードに向かって小走りになる。わたしたちは まるみ専用デパートへ行き、あたらしい服を2着と まるみちゃんのベビーバス用ボディソープと 携帯ストラップなど 思うさま 買い物に励み、“まるみのうた”を合唱しながらメトロの駅を目指して傘をさして歩いて帰った。

慣れない街に行ったあとは、プールのあとみたいに ひどく 疲れる。雨が屋根にあたる音を聴きながら、夕寝。読書。家にあるもので質素な夕食。読書。就寝。

日曜日がまたあっという間に終わってしまった。