灰色手帖
きのうは七夕だったって。
空を見上げることもなく、眠りこんでしまってた。
昨晩も めちゃくちゃな夢を見た。
夢のなかのわたしはさいきん ナイフで切りつけられたり、殴られたり蹴られたり、散々だ。
そして 起きると傷つけられたところがズキズキと痛む。
“呪いセット”を買ったひとに、夜な夜な五寸釘でも打ちつけられているのだろうか。
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先日入籍して 二人暮らしをはじめた同僚がいて、近所なので 先週の日曜日 さっそく彼女の新居に遊びに行った、という別の同僚が、会話の途中「彼女の夫の本棚はすごい」と発言したのを小耳に挟んだ。これは聞き捨てならない。
その場では聞けなかったけれども、気になって気になって仕方ないので、仕事中 本人のデスクまで、つつつつつ、と、猫のあしで忍び寄って、本棚についてさぐりをいれてみたところ、書棚の目録は、経済とか経営とかの“意味不明な本ばかり”とのことらしいが、しかし「本棚がある部屋」は、わたしのなかで 今 もっともホットなプレイスだ。さっそく 近いうち、遊びに行かせてもらうことに。うれしい。
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9Fの巨大なガラス窓の向こうに広がる、灰色の空を眺めている。
ロシアンブルーの背中みたいに、鬱陶しく美しい、青と灰色が溶け合う直前の色。
「雨って好き?ねえ、曇り空って落ち着かない?」
「雨の日は大好きです。いちばん好きです。」
わたしをさびしくさせない言葉が好き。なんでもわかってしまうもの。
予定表を眺める。はやくはやくはやくはやく、日々が走り去ってしまえばいいのに。