かわうそ日報

■木曜日

髪を切りに行った。わたしが その日さいごの予約で、最初から最後まで、客はわたしひとりきり。シャンプーガールの女の子が、シャンプー台に仰向けになったわたしの瞼のラメを見て、あ、RMKだ!とピタリと言い当てた。なんて鋭くて見込みのあるシャンプーガールなんだろうか。わたしが引越し談義をしたり、美容師の夏バケ(マレーシアのペナン島に行くのだという)の話を聞いたりしているうちに、いつも通りに髪を切り終わる。いつも通りのさらさら髪。目にかかっていた前髪を切り、視界が突然良好になると、僅かながらも気分が晴れた。

■金曜日

仲介手数料の端数を支払いに、この日はひとりで不動産屋へ。用件はすぐに終わったのだが、気心が知れてきつつある 担当者と、新居の話や同居人の話、近隣の美味しい店などについてうっかり話し込んでしまった。

この日は、前日の寝不足と一週間の疲労のせいで、帰宅するなり、バタンスヤスヤと眠ってしまう。

■土曜日

誰にも起こされないのをいいことに、昼過ぎまで眠りこけた。暑さのせいで目を覚ましても、エアコンをつけてまた寝てしまう。

夕方、やっとのろのろと起き出して、区役所の出張所へ出かけ、住民票の写しを交付してもらう。

日中は図書館にこもって勉強していたというWRと落ち合って、近所でアイスコーヒーを飲んだり買い物したり。最近、休日は引越しに関する雑務に追われて何処にも出かけられないので、来週末あたり、鎌倉へ行こうなどと話し合う。



今年の夏は暑い。来週は友人の結婚パーティーがあって、鎌倉へ行って、それからは夏休み前までに不用品を片付けて、引越しの準備。お盆には、名古屋へ行く。帰ってすぐに、引越し。八月終盤には、東京ジャズに来るスライを観る予定。九月の前半までに、あたらしい家を暮らせるようにきちんとして、九月の半ばには出雲に行く。あっという間に秋になる。秋になったら、本を読んだり 映画や美術館にもっと出かけて、身の回りが落ち着いたら、しごとのこともしっかり考えてどうにかしたい。…日記は、やはり毎日書かないと、途端に日々の輪郭がぼやけてしまう。夏休みに、何かひとつ 思い出に残る本が読みたい。「チボー家の人々」とかどうだろう。これも秋までかかってしまうだろうか。