ホリデースイーツ

祝日だった為、月〜金曜迄のサイクルでセットしている携帯電話のアラームに、容赦なく叩き起こされた(‥‥勤め人でいる限り、“今月は何処に祝日が位置するか”ということは、何が何でも忘れないものだが、それが何の祝日かということは、大抵の場合 まったく思考されることがない)

WRは仕事上でひつような試験を受けに出掛けて行った。わたしは平日の中央線と小田急線をふわふわと乗り継いで、束の間の帰宅。案の定 自宅のベッドで1時間ばかり二度寝をしてしまい、昼前の友紀ちゃんとの約束に慌てふためいて飛び出す。

偶然通りかかったこの店でランチ。
http://porta6277.hp.infoseek.co.jp/

手頃な値段の割りに、ランチの種類も豊富でとても美味しかった。しかし何より、前菜と一緒に、バスケットにふかふかと山盛りになって登場したパンに、度肝を抜かれた。わたしの近所の行きつけの店のパンだったのだ(生地に特徴があり、東京中でもそこ一軒でしか作られていない)ふだん、部屋着同然の寝癖頭で買いに行っているパンが、こんなレストランに出てくるなんて‥‥! (あくまでもわたしの中だけで)これは下半期ベスト5にはランクインしそうな事件であった。

友紀ちゃんとは 十日と空けず頻繁に会っているけれど、じつに会うたびに なんのかんのと話題は尽きない。この日は神南界隈を徘徊し、細々とセールを続けているセレクトショップを見て回った。仲の良いひとと買い物をするのは楽しい。ものを買う、買わないよりも、お店を巡りながら、お店やものに纏わる話をするのが楽しいし、ものを介して そのひとの自然な心の動きのようなものに触れる瞬間に出会えることがいい。友紀ちゃんは 陶器で出来た、手のひらサイズの小物容れを買っていた。わたしは 同じ店でクロエのオレンジ色のサンダルに心を惹かれたものの、それはセールで半額とはいえ、今のわたしにはかなり大きな金額で、実際に購入するのは気がひける。ああ、でも、今でもちょっと欲しいかも。欲しいというより、これから控えた夏のお出かけに、是非とも必要。でも、こんなふうに何が何でも欲しくて買う、のではなく、「買っておいたほうが得策」などとあたまで計算して買う買い物は、結局は失敗することが多いこともまた事実。ああ、だけど、今なら会社帰り、閉店間際に駆け込むこともできるなぁ、なんて まだ未練がましく考えている。

夕方に再び会ったWRもお買い物を敢行していた。わたしは、迫り来る引越しのために、何が何でもものを減らさなければならないため、身近なひとびとがものを買うのについてまわって、渇いた心を満たしている。

連休さいごの夕方。陽が落ちても蒸し暑さはちっとも衰えてくれない。迷路のようなくねくねの街の、湿っぽい熱気のなかをふらふら歩く。わたしたちは、引越し業者を早く決めなくては。ぼやぼやしていると、あっという間に次の週末がやって来る。