女の子は報復する

土曜日。友紀ちゃんが近くまで来てくれたので、タイ料理屋でランチをして、雑誌でよく見かけるブックカフェでお茶を飲んだ。

神楽坂のブックカフェ(ここも雑誌によく掲載されている)に続いて、ブックカフェの存在意義がやはりよくわからない。カウンターに文庫本、その奥の本棚に画集だとかミュージシャンの自伝だとかカルチャー的な本がずらりと並んでいるのだけど、かなりの音量で音楽が鳴っているので お喋りにくる客の声も自然に大きくなってしまい、文庫本一冊読みきるまで長居しようという気にはなれないし(そもそも本を読むのに間接照明はやはりどうしたって暗すぎるのだ)、何より本のセンスがはちゃめちゃすぎて、まるでブック・オフの廉価本コーナーのようだと思ってしまう。本を読むつもりでカフェに入るひとは、自分がいちばん読みたい本を持ってくるものだと思うし、ブック・カフェの“ブック”の部分はインテリアかファッションとしか思えない。飲み物のグラスも大きいし、この日食べたケーキもとても美味しかったので、“カフェ”としてはとてもよい空間だったのだけど。

この日は恋愛談義。とはいえ、お互いに自分自身の話などはそっちのけで、知人のちょっとした噂話に花が咲く。友紀ちゃんに云わせると わたしは自分より一歳でも年上の男性は、みんなおっさん扱いで、端から相手にしない反面、年下の男の子への評価は全般的にとても甘い傾向がある、のだそうだ。これって、わたしがもっとも忌み嫌う “若い女の子好き”のおっさんのメンタリティと同じではないか。だからこそわたしはおっさんが嫌いなのだろうか。などと ちょっと考えてしまった(というのはまぁ冗談で、自分のこういう傾向はおそらく幼少期の経験に由来すると思うのだけれど)

別れ際、駅の傍の靴屋がセールをやっていたので、友紀ちゃんもわたしも一足ずつ衝動買いをしてしまった。足は二本しかないというのに、靴は何足買っても、いつも足りないと思うのは何故だ。

引越しの支度をしようと思ったのに、ダメだった(ひるねを して しまった!)

夜は電話会議。数ヶ月ぶりで、ウィルコムの電源を入れた。状況確認と情報の交換、共有。現状報告。ミッション始動。このように書き出すとまるでふざけているようだ。だけどこれからシリアスな任務を遂行する為、動き出すのだ。事態はたいへんシリアスだけど、しかし同時に絶えず抱腹絶倒の波にも襲われ、やはり夜は夜で、引越しの支度をしている場合でなくなったのだ。