なつやすみ記◆2

夏休みの2日目。

午前中、不動産屋へ赴き、新居の鍵を受け取る。まだライフラインを通していないので、自分の家というよりは よそゆきの顔をした「見知らぬ空間」という印象だけれど、ともあれ 着々と物事が進んでいって、手にするもの共有するもの大切にするものがひとつずつ増えていくことは、幸福で嬉しい。

早めのお昼を済ませると、WRはバンドの練習に行ってしまった。わたしは荷造り作業をすべく 風のように帰宅。ダンボールを組み立てるスペースもないほど物が散逸している部屋のなかで、ひとり押し合いへし合いしながら手当たり次第にダンボールに詰めていくことに。ネット見積もりで決めた引越し業者は、マイナーな会社で、サービスで届いたダンボールには、この世の誰にも知られていないような、バカバカしいクマのキャラクターがあしらってある。現段階で40%ほど片付いたけれど、すでに四方八方 部屋のどこを見渡しても、マイナーなクマが視界に入るので、ちょっとだけイヤーな気分だ。物が片付いていく爽快感はあるにせよ、マイナーなくせに得意気なクマの顔が、荷造り意欲を減退させる。打ち勝たなくては。