なつやすみ記◆4

夏休み4日目。

荷造り計画は70%で停滞している。残る30%は、冷蔵庫の中身だったり、引越し当日まで着用する衣類だとか日用品の類。このあたりの限界区域は、業者が来る直前の数時間で片付けるしかないけれど、焦らされるのが何よりも嫌いなので、仕方ないとはいえ落ち着かない。

午前中は、再び新居の窓を開けに行く。引越し当日から不快なく過ごせるように、各部屋に消臭剤を設置して、ついでにハウスダスト防止スプレーも入念に散布してきた。付き合いの浅い友人知人からは「家事なんていっさいしないでしょう」とよく云われるけれど、わたしが いちばん長く一緒に過ごした大人(つまり母親)は“完璧な主婦”であったので、家の中のことをきちんとするつもりになると、自然と「彼女ならこうするだろう」という動きを、自分もしてしまうようなのだ。

空気を入れ替えている間に、渋谷にあるマッサージ屋に行き、インテリアショップをちょっと覗いて新居に戻って窓を閉めて、それから自宅へ舞い戻る。街はもやもやと暑く、街を歩くひとたちの夏服は(もちろん自分も含めて)どうしてこうも安っぽく、不潔に見えるのだろうか、などと考えたりする。

夕方 WRと伊勢丹で待ち合わせ。旅行に携えていく手土産を選ぶ。伊勢丹の地下は、ここ何年かで全面的にリニューアルが為されていて、ちょっと前までの前衛嗜好とは打って変わって、古き良き老舗ばかりを連ねたセレクトになっている。良く言えば格式が高く、悪く言えば保守的。つまり、ファッションフロアのコンセプトとはまるっきり逆ということだ。贈り物を選ぶ際「デパートに行けば間違いない」というのは 現在でも勿論ある意味では間違いないのだけれど、各百貨店の特色のみならず、各店の・各フロアごとの傾向を自分の中で定期的にメンテナンスしておかなくては、(何でもいい、という場合はともかく)その時々の用途に沿った買い物をするのは、至難の技だ。今日の場合は ワインセラーでシャブリを見ていたら、どこからともなくすっとソムリエが現れて、望んだ通りの的確なアドバイスを与えてくれるなどして、とてもよい贈り物選びができたから、伊勢丹にして大正解だったけれども。明日からの数日間の日程を話したり、天狗の唄を口ずさんだりしながら、和菓子と洋菓子も首尾よく購入。テテテ テテテテーングだよ その後 爆発的に空回りしながら女を口説く男が座っているテーブルの隣のテーブルで夕食を食べ、新宿駅で解散して帰宅した。

明日から数日は名古屋です。