なつやすみ記◆5

【名古屋1日目】

9時半 東京駅の新幹線口にいつものメンバー(WRとわたし)が集結。2泊3日で愛知県名古屋市へ行く。わたしは カブスカウト意識の巨大なリュックサックを背中に背負い、花柄の旅行鞄を肩にブラ下げ、首からは財布や携帯を入れたショルダーバックを垂らしているという、地獄の死者ようないでたち。WRは白いエナメルの旅行鞄を手に持って、寄宿舎からの帰省スタイル。名古屋で会う友達に渡す、東京嘘銘菓ひよこなどを買って、新幹線に乗り込んだ。

名古屋は猛暑であった。道幅が異常に広く、身体を隠す木陰もないので、早速繁華街のデパートを行脚して日傘を購入。お盆休みのせいか、或いは酷暑のせいなのか、市街は閑散としていて人影もまばら。中心地にあるスタバにさえ人がいない。日本の地方都市はどこも互いに似通っていてつまらない、とよく言われるけれど、街のひとの服装も街に漂う雰囲気も、その土地ごとに、グラデーションのように変化する。

ランチは WRに引率されて「矢場とん」でみそかつを食す。昔はどこにでもありそうな小さな店だったらしいけれど、みそかつブームで大当たりして「**でビルが一軒建った」という言い回しそのままに、ブタの意匠で覆い尽くされたビル一棟がお店となってみそかつドリームを体現していた。客層は地元の人と観光客が半分ずつといったところ。みそかつは、かわいい女の子のかわいい胃には打撃が大きそうだとお見受けしたけれど、猫科(肉食)のわたしはペロリ。ブタちゃんの前で写真を撮った。

その後、大須商店街を散策。WR曰く「アキバと高円寺が混然一体となった町」とのことだったけれども、なるほど 8軒分くらいのアキバと6軒分くらいの高円寺が存在していて、ついでにその中に2軒分くらいの新大久保も混じっているような気がしないでもない、おもしろローカルな商店街だった。商店街を最奥まで突き進むと、観音像まで現れた(大須観音)ので、アキバと高円寺と新大久保に加えて、最終的には浅草テイストだ。炎天下の中、意識を遠のかせながら観音を拝み、地下鉄でホテルへと帰還。商店街の高円寺テイストの輸入雑貨ショップで「思い出の品」として、はにかんだライオンのぶら下がり人形を買ってもらう(写真)

夜は WRとWRM(WRママン)とお食事。この夜の会食の為に、この一ヶ月の間、寸暇を惜しんでエアしゃぶしゃぶを行い、しゃぶしゃぶの練習に励んできた。結果として、会食は ねこの話題等を中心に、終始なごやかに進行し、大成功をおさめたかに思われたものの、肝心のしゃぶしゃぶに関しては。 い ち ど も 肉 を し ゃ ぶ し ゃ ぶ と し な か っ た 、という思いも寄らなかった結果に(緊張のあまりなかなか肉片に箸が伸ばせず、結局ぜんぶWRMとWRがしゃぶしゃぶとしたものを、小鉢によそって戴いた)

WRMには 出会い頭から別れ際まで、終始あたたかなお心遣いを賜りつづけ、会食の中盤からはもう、感謝 恐縮 感謝 恐縮が巨大なミルフィーユとなって襲いかかってくるばかり。次の日もお会いする予定になっているので、早目にお別れして、WRとふたり、ミスタードーナツで反省会をし、ホテルへと帰還。