6月のふり

新居のカオスは続く。

日曜。朝いちばんに前の住まいのルーター(ネット回線)撤去に立ち会い、隣家の呼び鈴を鳴らして、転居してきた旨のご挨拶をした。
この2つの行事を終えると、わたしはこの日は何もなし。何もないということは、部屋にひきこもってダンボールの荷解きをすることになるわけだけど、2つの引越しを終えて気が抜けたのか、遅々として進まない。床にぺたりとおしりをついて、テレビを眺めながらのろのろとダンボールの中身を選り分けたり 畳んだり 棄てたり。猫の手よりも進まない。

WRは文化活動や社交に忙しく、お昼にバンドのリハーサル、夜には同僚の結婚パーティーと、引越しが済んでもゆっくり休む暇もない。結婚パーティーはともかく、週に1度のバンドのリハは、わたしだったら風邪とか何とか言って休んじゃうかもなー、などとふと考えるけど、WRは意地だとか猛烈な無理をして何かをすることは全然ないのに「そうすることになっていること」は、かならず あたりまえにちゃんとやる。一事が万事そういうふうになっている。能力が高いことを証明する唯一の証拠はそういうことで、わたしは能力が高いひとが好きなのだ。愛情も 信頼も 高度なレベルでなければ嫌。

新しい家は、昼も夜も とても静か。窓の外には電車が見えるのに、電車や踏切の音もいっさい聞こえない、想像以上の静寂。空は、まるで6月のように 一日かけて降ったり止んだりを繰り返している。