転居届け/携帯を変える

午前 徒歩数分のところに区役所の出張所があるので、転居届けを提出に行く。土曜の午前の出張所は、まだ区民の数も少なく、届出もスイスイ。しかし窓口には、やりとりの雰囲気からしてホームレス直前というような三十代の女性が、何やら行政的な援助を求めて職員に陳情を行っていて、しかしそういう重大事はどうやら区では手に負えないらしく、都の管轄になるというので、その場では受け入れられず、その一部始終を目撃して 心が落ち窪む。職員がいて、陳情者がいて、その中間的な存在である自分がそれを俯瞰している構図なのだが、その三者の立場には圧倒的な断絶があるように思われ、しかし同時にほんとうにギリギリの僅差で、その立ち位置が揺らぐ気もして、恐怖のような感覚に襲われる。

午後からWRはバンドの練習。夕方新宿で待ち合わせして、巨大な電器屋へ行く。目当ての品々(ガステーブル、照明器具、炊飯器、乾燥機)をつぶさにチェックし、それぞれ購入品を決めてから、携帯コーナーへ。壊れすぎて通話不能直前の携帯電話を、新しくする。待ち時間に、駅の反対側へ回り、WRの仕立てたシャツ2枚も守備よく受け取る。ここの仕立て屋には、WR専属の店員がいるのだけれど、彼はWRの特殊体型から衣服の購買リズム、財政状況まで何故か完璧に把握していて、的確なタイミングでシャツやスーツの仕立てを薦めてくれる。わたしたちの中で、もっとも謎に満ちた人物のひとりだ。

電器屋で携帯を受け取って、つばめグリルでビールとつばめハンバーグの夕食(新宿なので、また来てしまった)。

雨の中、帰宅して、わたしは「漂流教室」を読破して就寝。3才のゆうたんが天才すぎた。真偽のほどは不明だけれど、楳図さまは「生涯童貞」であるという噂があって、そのことについて「天才には、セックスなどという俗な行為は不要である(=子孫を得るという行為は、作品を残すことのできない凡人にしか必要ではない)」というような意味のことを仰ったらしいけれど、楳図さまに限っては、全面的に賛成できる。