あかり

敬老の日で祝日。外は 夏にも秋にも、すべての季節に似ていないような薄曇り。WRとふたり、線路の向こう岸の「あっち側の町」をぽくぽくと散歩。この日は停止していた新居のインテリアを整えるべく、家を拠点に 途中ひるねをしたりさぼったりしながらも、細かな買い物や家具の設置に励んだ。

夕方 目を覚ますとWRの手によって、巨大本棚が建立されていた(わたしはトントントント トントントトン、と木をたたく金槌の音が気持ちよくて、お手伝いはしないでおひるねをした。この3日間の休みのあいだは、ほんとうによく眠った。深くぐっすり眠るというより、きれぎれの夢と現実を絶えず行ったり来たりしているような、へんな眠りだ)

見渡す限り本の洪水で、地獄の墓場のようになっていた部屋に、突如として出現した 白くて大きな本棚は、この部屋の救世主のよう。「ワァ」と歓声を漏らしながら、喜び勇んでWRと一緒にわたしの分の本を入るだけぜんぶ詰め込むと、本棚は重たくなりすぎて 微動だにせず「最後の壁寄せ」が不可能となった。がっくりと肩を落とし、頬を涙で濡らしながら、本をいったん棚から抜き取り、本棚を壁に寄せて もう一度本を並べてようやく完成。前の家から使っていた本棚と、このたび新規導入したIKEAとを合わせても まだまだ本が入りきらないので、同じものをもうひとつ購入することに。

改めて本棚を眺めてみると、WRとわたしで、重複して所有している本も数多い(重なっていない本も また 数多いけれども)。「法王庁の抜け穴(アンドレ・ジイド著)」が二冊あることなど、相当地味だが傑作だ。こんなタイトルの本、一家に一冊あるだけでも多すぎるほどなのに、一家に二冊なんてこれはどう見ても軽く致死量(あくまでも タイトルだけの話)

■この日買ったもの
物干し竿・透明の衣装ケース2つ・衣類洗剤・二日酔い防止ドリンク・おしゃれ照明

■この日食べたもの
昼:イタリアンバル ダニエラでひな鶏のコンフィ 夜:カウボーイのハンバーグ

■聴いた音楽

ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ

ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ

日が暮れて夕闇がやってくると、雨が降り出した。地面に真っ直ぐ落ちてくる 静かな雨。あたらしく買った照明は、小さなりんごが3つぶらさがったような不思議なかたちをしている。蝋燭の灯りのようなオレンジの光。この照明は、見つけた瞬間に 二人とも一目で気に入った。片方が「ちょっと良いかも」と思うものは まあ何処にだってそこそこにあるけど、焦らずにいると こういう風にしていちばんよいものに巡り会える。