あきやすみ記◆1

出雲に来ました(再来月くらいに写真を載せます)

【1日目】
早朝に起床して、荷造り。手土産、スーツ、着替えなど 二人ともたくさんの荷物を持って空港へ向かう。WR とても眠そう。余裕を持って空港に到着し そこでゆっくり珈琲を飲むつもりが、チェックインカウンターにて 実にくだらない喧嘩(いがみ合い)が勃発、搭乗前の30分 別行動をする羽目に。しかしすぐに仲直りする(さっきまで 泣いてたカラスが もう笑った!)

正午過ぎ ニコニコブーーーン、と飛行機が飛び、出雲に到着。まずはホテル(*1)に荷物を預け、出雲そば(*2)を食べに行く。18歳になるまで、わたしは出雲の割子そば以外のそばを食べたことがなかったので、ふつうの冷たいそばの食べ方(=つゆの入った小鉢に麺をくぐらせて食べる)も、東京に来てはじめて知ったのだ。割子そばは、麺の上に直接つゆをかけて食べる。この日 何年振りに割子そばを食べようとしたら、今度は逆にこちらの食べ方を忘れていて、つゆを入れる小鉢を探してしまった。出雲に、そば屋は色々あるけど、昔からいちばんふつうでいちばん美味しいのはここ。

昼食後、街歩きも兼ねてホテルまで戻る。9月というのに、とても蒸し暑い。シャッター商店街は 今も変わらずシャッターが閉じたまま。ところどころに大きな車道ができている以外、街のさびれ具合は小さな頃と何も変わらないので、いまいち感慨に欠ける。

ホテルでWRはスーツに着替え、いざ実家へ。父母に出迎えられ、和室に通されはじめましてのご挨拶。WRは思ったより全然緊張してない。先月 父が出張で広島のホテルに泊まった際、WRと同じ勤め先のひとが領収書を切っているのをたまたま目撃し「おっ 来月挨拶に来るWRくんと同じ事務所のひとだなぁ」と思った、という小話を披露したところ、WRと同じチームで働いているひとも先月広島出張があったということで、あとで日付やホテル名を確認したところ、どうやら父が見たのはWRと同じチームの同僚そのひとであったらしい。ハハハ とんだ偶然だね、アハハハハ、などと談笑しつつ、別棟に住む祖母や噂のタヌキ猫(りんごちゃん。可愛い!)なども加わり、和やかに時が過ぎた。

父は夜から別の予定が入っていたので、一旦スーツを着替えにホテルへと戻り、軽装に変貌して実家で母とWRとわたしと猫で夕食。食後、わたしたちは早目にホテルへとまた戻る。

飲み物を買いにいくついでに、ホテルからほど近いひなびた歓楽街(代官町)を散歩する。くねくねとした細い路地に、スナックやパブと看板にある店が軒を連ねていて、背中丸出しのナイロンのドレスを身に纏った、若いのか若くないのかよくわからない女の人が、客引きに立っている。立ち並ぶスナックの看板よりもっと身につまされたのが、この路地裏専門の果物屋や花屋。歌舞伎町でも何処でも、歓楽街に果物屋と花屋は付き物だけれど、この路地裏の果物屋と花屋は、老夫婦が営んでいるような、昔懐かしい「商店」そのもの。果物や花のほかに、トイレや食器用の洗剤だとか、氷や柿の種や業務用チョコレートの類だとか、電球や文房具とか、要は 水商売で使うすべての物が揃っているようで、とにかく生活臭に溢れまくっている。しかし この ひなびた商店に並んでいる このしなびたようなフルーツも、スナックの調理人が手を入れて皿に盛り付ければ、少しは「贅沢品」に見えるのだろうか。なんだか つげ義春の世界に迷い込んだような気分。この日はまったくお酒を飲んでいなかったけど、頭をぐらぐらさせるには充分に濃厚な雰囲気を味わい、ベッドに倒れこんで就寝。

(*1) http://www.ichibata.co.jp/t-leaves/
(*2)http://www.en-musubi.net/sobamap/soba37.html