あきやすみ記◆3 - nekkorogirlの日記

【3日目】

2泊した駅前のホテルをチェックアウト。この日は昨日の雨が嘘だったような快晴。でも、秋の空とはいかない。夏と秋の中間のよう。この日も朝実家へ行って、母の作った朝食を食べた。

前日母の車を借りて、駅からホテルまでWRが数年振りに運転をした（わたしは免許がないので、道案内）。その時の感触から、出雲大社(*1)くらいまでは WRの運転で行けそうだ、ということになったので、この日は二人で出発。実家のわたしの部屋から、スマパンやレディオヘッドのCDを幾つか掴んで車に搭載。田舎の広い道を、安全運転でそろそろと走る。

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最後に出雲大社に来たのは、弟の国家試験の前の日で（わたしはちょうど福岡での生活を引き払って、東京に再上京する前の時期でそのとき丁度福岡と東京の中間にある実家にいた）、弟がどうか試験に通りますように、と両親と三人で、いつになく神妙な顔で神頼みをしたのだった。その時以来の出雲大社。その時は弟の心配で頭がいっぱいで、次にこんなふうに此処に来るとは思いもしなかった。出雲大社は言わずと知れた縁結びの神社で、そう思うと恋愛だけに限らない、もっと広義の縁について自分と万物との繋がりを感じる。神楽殿の前で、母から借りた日傘を持ってぼうっと立っていると、商業カメラマンのようなひとに写真のモデルを頼まれた。モデルと言っても、日傘を差した後姿。さいごまででは前を向いたショットも一枚、という要望は無かったことについては深く考えないようにする。モデルになってあげたので、プロと思しきそのカメラマンにデジカメを預けて、WRと二人並んだ記念写真を撮ってもらった。

大社の構内は、空気がとても澄んできれい。観光客は、パンフレットにかならず写真が載る神楽殿や本殿に集まるけれど、うちの家は出雲大社の「北島家」という宮司さんに御参りする。出雲大社のすぐ脇にあるこの場所は、小さな滝があって、池があって、鬱蒼と茂る林があって、ひっそりとしているけれどいちばん空気が澄んでいて静寂があり、神様（といっても、具体的な存在ではない、目に見えない神様、としか呼べないようなもの）が在る、ということを感じさせてくれる。だから、出雲大社に行くひとは、此処へ行くといいよ。気持ちが落ち着く。

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大社を参拝した後は、日御碕(*2)まで足を伸ばした。くねくねと続く海沿いの山道をひたすら車で上っていくと、灯台があり、岩に囲まれた海に出る。船でないと到底行けない巨大な岩場で、何人かの釣り人がボートも着けないで釣りをしていたのが不思議であった。どうやってあそこまで行ったのだろうか。日御碕は、ほんとうに日本海の先端、という感じで、磯料理を出すお土産屋さんが何軒か軒を連ねているけれども、客はあまり入っていないようだ。わたしたちが満員電車で通勤しているときも、銀座のレストランで食事をしているときも、蛍光灯の点ったビルで残業しているときも、この磯くさい先端ではここに住むひとが毎日の暮らしを営んでいるのか、と思うとちょっとわけがわからなくなる。あまりにも違う時間が流れているから。しばらくぼーっと海を眺めて、また来た道をくねくねと下った。山道を下りきって、大社の町に着いたところで、猫の死体を轢きそうになる。きれいな姿のままうつぶせにパッタリと倒れている猫を見て、家に置いてきたねこ人形のことを思い出した。

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街に戻って、遅い昼食。行きたかったそば屋が定休日だったので、着いてすぐに行ったのと同じそば屋にもう一度行く。

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この日は、玉造温泉の旅館(*3)に泊まった。一旦帰宅して珈琲を飲んだあと、WRに運転してもらって再び家を出発。宍道湖沿いをすいすいと走る。WRも田舎の道に段々慣れてきて、トムヨークの歌声の真似などをしながら軽快に進む。宿は、子供の頃にも泊まった記憶のある宿だ。玉造温泉は、川が流れているだけの滋味な町だけれど、お風呂に入って眠るだけのわたしたちには問題はない。夕食前に川の周辺を少し散歩して、民家の軒先で檻に入って飼われている美人の猫などを写真に写す。夕食もお風呂のお湯もアロママッサージもとても良かった（WRは生まれて初めてアロママッサージを受けたのだけど、終わってからも「ねぇあれって男がやって良かったの？女の子がやるやつなんじゃないの？」と心配し続けていた）。その後は心地良い睡魔に襲われてすぐに眠りに落ちてしまった。温泉で読む用にコンビニで買って持ってきた、ムック版の「夏のドラえもん」も、結局パラパラとめくっただけで、読めずじまい。

(*1)http://www.izumooyashiro.or.jp/
(*2)http://www.san-in-tabi.net/kankou/map/taisha/hinomisaki-toudai/
(*3)http://www.minami-g.co.jp/minami/top.html

この日聴いた音楽