月曜の夜の音楽

今朝WRが 起床した際、「オハヨー」と発したまではふつうだったのに、そのあと 続けて「ゆめ!」「きぼう!」と小学生の書き初め然とした単語を叫んでいた。朝いちばんに前向きな言葉を発することで前向きな人生を目指す、というのは ブックオフで100円で売っている自己啓発の本にいかにも書いてありそうだけれど、幸いなことに 我が家の本棚にそういう本は一冊もなく、買ってくるひともいないので、多分 誰に教わったわけでも前向きな人生への明確な意図があるわけではなく、WR自身でも理由はわからないまま、偶発的に発されたのだと思う。人間の内部の本人さえも知りえぬところで勝手に充満し発生する、アニミズムの一端を目撃したような気分だ。WRは外見も内面も草食動物そのものなのに、よく観察すると 要所要所では意外と体当たりで生きているのでおもしろい。

月曜 仕事終わり WRと恵比寿で待ち合わせ。駅から程近い“NOS”(*1)というカフェバーで、ライブを愉しむ。わたしたちの目当ては、小島麻由美嬢とネタンダーズの塚本功さん。ステージは まずパーカッション奏者がソロを演じて、それからトランペッター、ギタリスト、ウッドベース、ボーカルと段々にパートが加わってゆく、ジャムセッション形式。お酒を飲み 食事をしながら、ゆるりとながめるのがいい。ソファ席には蝋燭の灯りがゆらゆらとしていて、心地良い。食事もとても美味しかった。そして、やっぱり塚本さんのギターと歌が素晴らしい。どんなにしずかに丁寧に歌っていても、破れかぶれの歌に聴こえる。それがたまらなくいいのだ。

小島麻由美は、ステージにいてもまったくふつうのひと。しかし 喋り方や佇まいが、とても可愛らしい(なにか突出していて独特の、特別な可愛さがあるわけではなく、ふつうさの中にある可愛らしさが特別、という感じ。ちょっと形容しがたい)。コアなファンではないので、“結婚相談所”が聴けたことが良かった。バンドとして良かった曲は“パレード”。物語の中にしか存在しない、架空のバンドのようだと思う。ソファ席に腰掛けて、ちびちびとお酒を飲んでいたので、帰る頃にはひどく気持ちよく眠たくなった。わたしたちが恵比寿で食事をする夜は、いつも雨が降っている。去年の冬 WRの誕生日の食事の帰り、傘の中で身体を丸めながら駅まで小走りに急いだことを思い出した。12月も、あっという間にまたやって来る。

(*1) http://www.nos-ebisu.net/

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MooDoo(ムードゥー)

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