本読みの復興

月曜日。圧倒的な睡眠不足。しかし 仕事中も帰宅後も、別段眠くなったりはしない。ところで、20年以上もの間、新聞の見出し語などで「ロス疑惑」と呼ばれていた事件が、急転直下「ロス自殺」となり、語呂がピッタリなことが凄い。一部には「自殺」との見解に疑念を抱く向きもあるようで、そのひとたちにとっては これは新たな「ロス自殺疑惑」ということになるのだろうか。そして仮に、そのなかの人物が自殺を遂げたら「ロス自殺疑惑自殺」になるのだろうか。さらに それが謎の死ということにでもなれば「ロス自殺疑惑自殺疑惑」になるのだろうか。日常 こういうことばかり考えているせいで、わたしは一般的なイケメンのようなひとから、全然モテないのだろうか。

会社帰り ちょっと買いたいものがあったので、渋谷で降りて雨の道玄坂をとぼとぼ上って行ったのに、目的の店は定休日だった。雨のなか寄り道したのに手ぶらで帰るのはつまらない。なので映画館の入っているビルの入り口にあるクリスピー・クリーム・ドーナツを買って帰ることに(初)。都内のあちこちに出店している今はもう、行列も短く、ものの10分もかからない間に わたしは欲しいドーナツを選択し、あの平たく四角いドーナツ箱を手首にぶらさげたひととなることに成功した。しかし 周りのひとはみんな20個も30個も買っている。大家族なのだろうか。そして、そんなひとたちはみんな「これから2時間も電車に乗って、栃木か群馬に帰るひと」に思えてならない。クリスピー・クリーム・ドーナツの巨大な箱から漂う、あの得体の知れない北関東グルーブは いったい何なんだ。

雨が降り止まない。帰宅して夕食をつくりはじめる。パーラメントのアルバムに合わせて 踊りながら葱を刻んだり挽肉を炒めたりしているうちに、だんだんと興が乗ってきて、暗かった人生にようやく光明が差しこんでくる。21時半頃 WRも帰ってきて、一緒に夕食。昨日買った 平凡社ライブラリーの「シモーヌ・ヴェイユ入門」がとてもとても面白く、考えさせられる。「重力と恩寵」よりも先にこちらを読むべきだった。このところずっと、読書に限らず 手をつけるもの手をつけるもの すべてに注意が散漫で、挫折することすら叶わないほど何もかもが右から左へ素通りしていたけれど、久しぶりに 内への視点も 外界を見る目も、同じだけの客観性を持ちえている、こういう本に触れることで、自分の曇りに曇った視線も、流水でざぶざぶ洗われるような気がする。

この日聴いた音楽

チョコレート・シティ

チョコレート・シティ