ムーミンカレンダー手に入れたよ

部内の役員クラスが軒並み出張で不在だったので、居場所が会社であるという以外は、ニートネカフェ難民とまったく変わらない一日を過ごす(抑圧の中の自由)。

退屈で娯楽を渇望していると、些細な面白さにも過剰反応してしまうものなのか、別の部署にいるSMさんから届いた「今朝 通勤電車のなかで、頭に5cmくらいのムースの泡を乗せたおんなのひとを見た」というメールを読んだだけで、爆笑しそうになって押し殺すのがたいへんだった。

終業後 食事の約束があり、銀座へ。今いる会社から銀座へは幾つかのルートで行けるのだけど、電車は新橋でさっさと降りて、線路沿いの寂れた道をまっすぐ歩いて銀座の街に辿り着く行き方がいちばん好き。道の途中 グラデーションで街の表情が変わっていくのがいい。昼間の銀座は好きではないけど、日の暮れたあとの夜の道なら、遠くのネオンが宝石箱みたいにキラキラとして、冷たい空気が冴え渡っていて、心が開放されていく。

少し時間があったので、やけどをして以来 早く買わなくては、と思いつづけていた鍋つかみを探して、キッチン雑貨の店を幾つか巡る。いま流行しているシリコン製の鍋つかみは、欧米の巨大なオーブンの天板を掴むときには良さそうだけど、日本のオーブンや鍋をつかむには、あまりにも嵩張って使いにくそう。結局 欲しい鍋つかみは見つけられなかった。その代わり、来年用のムーミンカレンダーがもう店頭に並んでいたので、すかさず購入する(ついでに ねこ型の便箋や、ねこ型のカードなども買う)。WRが大好きなムーミンカレンダー。神楽坂の部屋にも飾ってあったムーミンカレンダー。毎年人気ですぐに完売してしまうので、早く買えたことが嬉しい。

その後 友紀ちゃんと「ISOLINA」で軽くディナー。
http://www.isola.st/isolina/
浅利とジェノバのソースと合わせたリングイネが とても良かった。今まで食べたことのあるジェノベーゼは、ソースをスープっぽくゆるめにのばして パスタ1本1本にバジルを吸いつかせるような滑らかな食感を出していたものが多かったけど、ここのジェノベーゼは、粗く刻んだ松の実を混ぜた濃厚なバジルペーストがパスタによく絡んで、野性的な美味しさなのに、残る後味はとても繊細。

友紀ちゃんと会うのは意外にも一ヶ月振りだったので、食事のあとのドルチェとコーヒーが出てきてからも、お喋りの収拾は全然つかない。この日の友紀ちゃんの恋愛譚歌が面白かった。わたしの知る限り、誰よりも恋人の要求に屈しやすく 流されやすいのは今目の前に存在している彼女そのひとであるのに、わたしの行動に関する彼女の意見は、原理主義的な潔癖さで終始一貫 理想化されている点が、倒錯していてあまりにも面白い。平日の夜の約束は、いつも話し足りない時間がない、と思うけれど、誰かと共有した時間はいつも、残りの平日を乗り越えていく力をくれる。