家を買うかクルマを買うか

期末なので、やや多忙。でもこうして考えてみると、期末で多忙、と平坦な発音にて呟いていれば済むなんて、おとなというのはとても楽だ。学生時代の あの恐ろしい審判、期末テストに比較すれば。わたしは空想に耽ることだけは何時間でも続けられるので、授業中 教師の話などいっさい聞かず、いつも黒板や白紙のノートにぼんやり視点を合わせながら、ぼーっとしていた。

ぼーっとしながら“今 授業中のこの教室に うちのねこがわたしを訪ねてやって来て、可愛い!可愛い!と大騒ぎになる”ことや“ある日 家族全員が飛行機事故で死んで、ねこを連れたみなし子になる”ことを 白昼夢にみる。一年中こんな調子だったので、中間テストや期末テストがやってきて 漸く現実に引き戻されると、テスト勉強の面では毎回地獄で(出題範囲もわからないし、それを聞けるともだちもいなかったので、毎回 2日か3日をかけて全教科の教科書の4分の1くらいを泣きながら丸暗記していた)、だから 期末であっても資料作りや校正作業が単に忙しいだけで、決してそれらを丸暗記しなくて良いことが幸せだと思った。この日は珍しく 部長と仕事以外の話などもして、会社に対して今までと違う見方が生まれたりもした。年功序列とか終身雇用とか未だに役員に女性がいないとかぶら下がり社員とか、悪しき日本企業の風習ばかりを色濃く感じてきたけれど、良い面を見ると 会社側の基本のスタンスとして、社員一人ひとりの人生の支柱として機能しようという気概を持っているということで、確かに「(仕事や環境が)気に入らないなら辞めてくれ」ということもない。部署の移動願いも自由に出せるし、留学もできる。わたしももっとじぶんの要望を伝えて自己アピールすべきだろうか。身の程をわきまえるということと、ひとりよがりに限界を設定することは、常に表裏一体だ。

会社帰り、原宿のMILK FED.に寄って服を買う。代官山の路面店を一軒ずつ訪ね歩いて買い物をする気力も時間もないときに、やっぱりラフォーレってすごくべんり。ひと全然いないし。地下鉄近いし。ラフォーレカード作ろっかな!っていうのは嘘。マスターカードとかついてくるしラフォーレだけで服買うわけじゃないから要らないけど。他にも髪につけるいい香りのトリートメント買ったりあたたかな下着を買ったりして、うっかり福袋を買ったひとのように、紙袋をたくさんぶら下げて帰る羽目になった。そのまま駅でWRと待ち合わせをして、お買い物帰りのわたしに刺激されてじぶんも服が欲しくなったWRにつられて、わたしもまた服をかう。リメイク風のジャケットで、一点ずつ違うデザインのワッペンが縫いつけられている。わたしは左胸のところにいえのマークがついたのと、クルマのマークがついたのでちょっと迷ったけど、WRの勧めによってクルマのマークのほうを選んだ。クルマの免許を持っていないことで、不便だったりコンプレックスを感じることも多いので、ぜめてクルママークのジャケットが買えて良かった。

そのあと、以前から気になっていた ホットドッグが食べられるカフェバーで夕食。さくさくとした食感のパンが とても美味しかった。しかし、ニューオリンズの伝統食を忠実に再現しようとしているのか、ホットドッグ以外では、ザリガニ料理やなまず料理がはげしくプッシュされていたが……

明日も忙しいので早寝。