真夜中の出来事

風邪で喉と鼻をおかしくして、頭を朦朧とさせている間に たたみかけるように生理まで来た。悪天候に見舞われたひとのように、こうなるとこれらが身体の上を去っていくまで、じっと待っているほかない。

WRも風邪気味で 風邪薬を飲んでいる。WRは風邪薬を飲んでいると“風邪薬でやられちまったみたいな そんな そんな気分で”というfishmansの歌詞が頭の中を駆け巡るという。わたしは、と云えば こんなとき頭を過ぎるのは、くるりがうたった“雨に降られて 僕らは風邪をひきました”という物静かなフレーズだ。慣れ親しんだ歌のなかの たった一行の歌詞でさえも、自分がそうなってみて はじめて血肉を得て自分のなかに響き渡る。そしてそうして言葉から得られた実感も、ひとたび風邪が快復すれば たちまち自分の身体から離れていき、ふたたびうたの中のワンフレーズに還っていってしまう。

金曜の夜は あたたかくして ふたりのねこと一緒に、すぐにベッドに潜りこんだ。WRは仕事先の飲み会で、お酒を飲んで帰ってきた模様。少し飲み過ぎた夜がいつもそうであるように、深夜3時に二日酔い(二日酔いの訪れが異常に早い。3時間酔いとか4時間酔いだ)を訴えて、水を飲んだりお酒を吐いたり 七転八倒の大騒ぎ。明日は土曜で休みなので、真夜中に起こされてもわたしはへいき。WRがおとなしくなって再び寝静まった頃、わたしも眠る。ねこたちは ずっと布団のなかで くったりと柔らかく転がっている。