鳩と猫

風邪が治らない。WRもわたしも 休日だと思って安心して飲んだ風邪薬のせいで、ずっと眠たく、頭をぼーっとさせている。昼過ぎにちょっと新宿へ出て、ただ用事を済ますためだけに、電器屋・楽器屋・本屋を駆け巡り、家の近所でカレーだけ食べて、またすぐ自宅にひきこもった。本を読んで眠る。珈琲を飲んで眠る。少しお喋りして眠る。眠りっぱなしで風邪ひきで見る夢の隙間にある日曜も、それはそれでぼんやりとして良いものだ。

風邪の眠りの最中に、誰かのバイクの後ろに乗りながら、箱詰めのねこを貰う夢を見た。灰色の仔猫が7匹 木箱にギュウギュウに詰まっている。疾走するバイクから振り落とされないように、バイクのひとの背中とわたしのおなかの間に 箱をギュっと抱きしめるのだけど、風のなかで誰かが「良かったね、この仔猫はもうすぐ立派な鳩になるよ」と教えてくれるのだ。

バイクの後ろにつかまったまま、へんに思いながら可愛い7匹の灰色の仔猫を眺めていると、だんだんに仔猫の耳が消え、ふかふかの毛がつるつるになり、猫が鳩に変わっていく。気持ち悪い!振り落としたい!そう思いながらも箱を棄てることができず、もうすぐ羽が生えて羽ばたきそうになっている、仔猫から鳩になりつつものからわたしは必死で目を逸らしながら「止めて!止めて!」とバイクの運転者に叫ぶ。叫びながら まっすぐの道を進んでいく。

今 読んでいる本

放浪記 (新潮文庫)

放浪記 (新潮文庫)

浮雲 (新潮文庫)

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