ねこと眠りの笛
金曜 土曜と近年になくよく眠ったので、日曜日はなんなく早起き。例によって、朝いちばんの上映を目指して早稲田松竹へ(ちなみに、わたしとWRは早稲田松竹のことを 勝手に“ワセタケ”と呼んでいるのだけど、世間的にも この呼び方は果たしてまかり通るのか、時々疑問に思う。“ワセタケ”の他にはストレートに“マツタケ”と呼ぶ場合も有り )
ロイ・アンダーソンの「スウェディッシュ・ラブ・ストーリー」と「愛おしき隣人」を観賞。全体を見渡すと36度のお湯に浸かりつづけているようなゆるさはあるけど、わたしはどちらの映画も結構好き。何より スクリーンの中のくすぶったグレーやブルーが 視覚的な好みにとても合う。SLSのさいごのシーンは 一瞬 ポカンとしたあと思わずプッと噴き出すようなシュールさで、WRとふたりでさっそく 劇中人物たちになりきって「ヨーン!」「ヨーン!」とかけ声を掛け合いながら 遊ぶ。「愛おしき隣人」は 出てくるひとが みんな泣いてた。金曜日に会社で泣いてた40歳の先輩も、この映画の中にいると良い。トイレで行きあったとき、相手は号泣しているのに 妙にほのぼのと牧歌的だったのは、こういうわけだったのか、と 妙に合点がいったのだった。格好つけて生きることほど格好悪くて不自由なことはない。
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帰宅後、WRは深夜まで黙々と仕事。わたしは前髪を切りに行ったり(また うっかり¥500の美容院に行ってしまった。いつもの美容師にまた怒られる)、ねこ人形で昼間見た映画のシーンの劇をしたり、読書をしたり眠ったり、ひどく漫然と過ごす。途中“庶民のカレー”を食べて、WRはまた仕事。そろそろ、ふゆやすみの過ごし方を考えなくては。けれど、考えるまもなく 去年と同じように ひとのいない東京の街を散歩して 散歩した先で本を読むと思う。そういえば ちょっと前までは 本気の程度はわからなくても、死ぬことについて考えてばかりいた。数年前までのような、逼迫した思い方ではないにせよ、それでも「いざとなれば高尾行きに飛び込めばよい」と頭に過ぎらせることで バランスをとっているような部分があったのは事実だったけれども、今は 何一つ表面には顕在しないけれど、そんな根底に澱んだいっさいのものが まったく払拭されている。春には春の楽しみがあり、冬には冬のたのしみがあり、それは半永久的に巡りつづけるので、そんな幸福でしかない繰り返しからみすみす降りていこう、なんて馬鹿らしいことは 微塵も思わなくなった。結婚をして 生活も性格も何一つとして変わらないけど、唯一にして最大の変化はこのことだと気づく。
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買った本
TOKYO SMALL RESTAURANT おいしくてくつろげる東京の小さな店100 +この後どうする?という場合のBAR&CAFE40 (講談社 Mook)
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