ふゆやすみ記4◆嫁で姉

またしても寝坊。朝、細かな家事の方法を巡って、WRと対立(悪いのはわたし)。近頃 心がいらいらしていけない。これもぜんぶS川のせいに違いない。

わたしは朝から体が重たく、なかなか外に出掛ける気になれなかったので、WRは単独でストーンズの映画を見に行った。WRは不良から最も程遠い人物のわりに、ストーンズが大好き。でもビートルズも大好き。わたしはモンキーズゾンビーズが好き。そんなわたしたちは「ともだちズ」という新バンドを結成したいと思っているけど、極度の恥ずかしがり屋のためか なかなか活動が進まない。

映画が終わったWRと渋谷で待ち合わせ。早めについたので、西武で薄い緑がかったグレーのショートブーツを買う。それからWRと落ち合って、東急の地下(凄く混んでた)で名古屋に帰省するとき用の和菓子を買う。家族構成ぶ合わせて何種類か買い分けたかったのに、WRは面倒臭かったのか、勢いづいたのか、「10個入りを4箱」と計40個の和菓子を購入。多すぎるのでは、と思ったけれど40個の和菓子を抱えて、夜の待ち合わせの恵比寿まで、散歩しながらトコトコと向かう。

恵比寿の「豚屋」という豚だらけの居酒屋で、弟と3人で食事。弟とWRが会うのは、まだ2度目。しかしどういう偶然かふたりは同じ職業なので、話題に詰まると仕事の話をすればよいということになり、弟が登山家とかボクサーとか、何の共通項も見出せない仕事に就いていないだけ話ははやいと言うものだ。あらゆる調理法で調理された、死んだ豚の肉片を前に、色々と近況を会話。「…料理とか出来るの?」「WRさんへんなもの食わされてない?大丈夫ですか?」などと要らないことばかり言う。弟は、姉二人に抑圧されてきた末っ子長男で、姉弟構成上奴隷のように扱われ、色々と辛酸を舐めてきただけに、やっと出来た同性の兄弟(WR)と仲良くなってくれたらいい、と思う。しかし 友人ならともかく、年の近い親戚間での食事会というのは、誰が会計を引き受けるべきか、よくわからない。所詮「豚屋」で何を食べても安かったので、年長者であるわたし(ワーキングプア)がふたりにご馳走。弟は明日実家に帰省すると言っていたので、わたしにご馳走されたことを両親に有難く報告するように、と念を押しておいた。こうしておけば、田舎の両親のあいだでわたしの優しさがまた評判となり、年明けには巨額のお年玉が口座振り込みされることであろう…ヒヒヒ…