日々の受難

部長の伝書鳩という仕事柄、時々 物凄く偉いひとからの電話の取次ぎもすることになるのだけれど、「部長は ただいま席を外しておりますが、まもなく戻って参ります」とか何とか言うべきところを、うっかりこと細かく「部長は ただいまジュースを買いに行っております」と答えてしまった。電話主の物凄く偉いひとが「ジュ、ジュースを買いに…?」とおおいに戸惑った様子だったので、わたしも戸惑い、ふたりしてしばらく通話状態を維持したまま戸惑い続けていたところ、メロンジュースの紙パックを手にした部長がまんまと戻ってきたので 事なきを得た。

また、今は来週開催予定の部長プレゼンツ・部長とギャルズの餃子会(アンオフィシャル)に関しても、頭を悩ませつづけている。要は 部長が部内のお気に入りの女子3名ほどを集めて美味しい餃子を奢りたい、というそれだけの催しなのだけど、どういうわけだかさっぱりわからないけれど50歳のぶら下がりおじさん社員が、なぜかそれを嗅ぎつけて「餃子?ボクも行こうっと(はーと)」と参加表明をしてきたことから事態が混迷!更に悪いことには その参加表明を嗅ぎつけた別の50歳まで出現して、同じく行く気満々になっているらしい…。こちらは部長と餃子の時点ですでに「付き合い」気分であることは変わらないので 50歳の1人や2人、増えようが増えまいが構わないのだけど、部長の思惑を推し量ると 50歳男×2の登場はありえないだろうし、人数的にも3 on 3 なんて、まるで合同コンパのよう。

とりあえず ランチタイムに女3人で相談しようと思っていたら、(餃子会の存在を知らない)40歳の先輩もついてきた為、結局話し合いはまったくできず、もう餃子なんか全然要らないからどうかこの面倒くささから解放してほしい、と神に祈りたくなる。

こんなふうに日々ビジネスの最先端で神経をすり減らしているため、此の頃 早朝や帰宅後に家事をしているとき、どうしても神経がささくれ立ち、苛々してしまう。いつも時間に追われていて、やっと「今日やること」のすべてを終えて さて好きなことをするぞ、と思った途端に、疲れに襲われて眠ってしまう。昨夜も 食後のお皿洗いをしながら苛々していて、受け答えの言葉がきつかったのか、WRを泣かしてしまった(些細なことでちょっと言い合ったしばらくあとに、妙に静かだな、と思ったら WRは隣の部屋で頭まで布団に包まっていたので、眠っているのかと思って布団をめくったら、その中で泣いてた!!!理由を聞くと「ぺしゃんこになった」「心がぺしゃんこになった」とさかんに言う)

じぶんに鬼嫁の素質があるかもしれないなんて、とても考えたくないことだ。これからはどんなに忙しくても 心やさしいひとでありつづけよう!やるべきこともしっかりやろう!年末あたりから断続的につづいている 心の荒廃具合を 深々と反省。

しかし 弱者になるとわたしが同情して反省することを学習したのか、まだみの虫のように布団に包まったままのWRは(初期の風邪なので)ゴホゴホと咳をしたあと「ぼくはもうすぐ死ぬと思う」「ああ、死ぬまえに フーのライブに行っておけば良かった…」「“レストランひらまつ”のお食事も 死ぬまでに食べてみたかった…」などと時世の悔い(?)を語り、かわいそうなシチュエーションに拍車をかけていた。人生さいごの思い残しが“レストランひらまつ”なんて、中途半端すぎる!と衝撃を受けたけど、それは言わなかった。とにかく 今宵の反省を忘れないで、今年は 一緒にいるひとくらいには やさしくできるひとでいたい。