殺風景な絵葉書

建国記念日の祝日。早朝 友人からメールが来た。

「朝早くにメールごめん。お元気ですかー?」

たったこれだけ。これだけだけど、旅先からの絵葉書のようだ。たったこれだけの文字の羅列で、今いる場所や背景が、心の迷いが、物思いが、香水の蓋をあけた瞬間みたいに脳裏に立ち上り、ふるい記憶が呼び覚まされる。

WRは 二日酔いの為 珍しく一日中ベッドの中。わたしもつられて昼寝をしたり 本を読んだりで、内向して過ごす。外の世界は 雨が降ったり、止んだり。映画をあきらめて家にいたので、内心「もっとどしゃ降りになれー」と祈る。

すっかり日が暮れた頃、二人してようやくまともに起きだして、夕食をとりに 外へ。グルメ雑誌の特集で1位として紹介されていたという お好み焼き屋に行ってみた。看板も内装も相当ボロく、油まみれ煙まみれで、潔癖症でないふつうの衛生観念の観点から見ても、苦手なひとは苦手だと思う。ぜったいにスーツや良い服を着て行ってはいけない店だと感じたけれど、味はとても良かった。「生地がふわふわで美味しい!」という戯言は、いかにも脳量が僅少なスイーツOLが口走りそうでそうやすやすと共感してなるものか、と思っているけど、ここのお好み焼きは 事実 ふわふわで美味しかった。……。それでも、断固として ふわふわ=美味しい、とか やわらかい=美味しい、ではない、と言いたい。美味しかったものが、今回たまたまふわふわだったというだけの話。全然関係ないけど、以前 女友達(誰かは忘れた)と食事に行ったとき、その子が運ばれてきた料理を口に運ぶなり ハートの目をして「ウーン、やらか〜い!」と絶叫したので、その瞬間 たまらなく脳天に斧をぶっ刺したかった。それが誰だったか まったく思い出せないくらいだから、もちろん恨んだりはしてない。だけど これからももし食事を一緒にしている相手が 甘えた顔で「やらか〜い」などと、戦慄するフレーズを言い放ったら、間違いなく 直ちにマサカリで喉笛を掻き斬りたい衝動にかられるだろう。かまいたちのようにね。ああ、話が逸れた。お好み焼きは、とにかくとても美味しくて、結果としてふわふわだった。

『なんばん亭』お好み焼きが四角い
http://r.tabelog.com/tokyo/A1318/A131802/13037445/

帰宅して、読書お風呂就寝。夢と現実の境界があまりにも曖昧な、あまりにも何気なく過ぎた一日。ねこちゃんは 家の者(WRとわたし)がずっと家にいたので終日ご機嫌だった、という設定にして、自画自賛的なささやかな満足を得る。