白い馬のおはなし

ひさしぶりに映画。お昼過ぎ、鞄に本を詰めて高田馬場へ。今日も春みたいに暖かい。「白い馬」「赤い風船」と、赤い風船のリメイクである「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」の3本立て。

どの映画も、ひとの話し声や街の看板で何処の国かはわかるのだけど、なのにそれでもなお“見知らぬ異国のお話”と錯覚してしまう。何処か知らない遠い国の話、こういう感想を持つものこそが わたしにとって正統な映画、になるのかもしれない。なかでも「白い馬」がよかった。(多分どれもこれも 笑ってはいけないシーンなんだけど)笑えるシーンが満載で さいこう!今時の映画ではおよそ考えられないことだけど、唐突にナレーターの「地の文」が挿入され、ストーリーを誤解しようがない、という点も、わたしのようなぼーっとした観客には親切でよい。モノクロなのに、白い馬がぴかぴかできれいだったのもよい。今まで、競馬であれ乗馬であれとにかく「馬が好き」と発言するひとの心情があまりよくわからなかったけど、この映画に出てくる白い馬の躍動感は、なるほど人間を魅了する。あまりにも生命力に満ち溢れていて、フィルムの中の馬だという事実を忘れてしまいそう。

そして お決まりではあるけど、ラストシーンのカタルシスも大変なものだ。今まで観た映画 すべてのラストシーンの中で、いちばんさいこう。ナレーターの願望、というか、あまりにも適当なご都合主義が、逆に物凄い効果をもたらしている。(「赤い風船」のラストも その適当さ、映画だからこれくらいやらないと的な こわいもの知らずの感じにひどくしびれた)

アルベール・ラモリス監督「赤い風船/白い馬」
http://ballon.cinemacafe.net/


DVDを買うべきか?買わないべきか?


tobaccojuiceの「白い馬」ももちろん大好き!

映画を観終えると、外は夕暮れ。いつもの突き刺すような寒さはない。少しだけ肌寒い、春の夜の寒さと同じだ。「白い馬」の話をしながら、WRと家路を目指す。夜は 家の近所、ずっとどんな店だか気になっていた、焼き鳥屋にしては店構えが可愛らしい、焼き鳥屋らしからぬ焼き鳥屋へ赴く。わたしが会社勤めを開始して一周年(一周忌ともいう)を記念して、WRがご馳走してくれるという。ありがとう。焼き鳥は美味しかったけど、頭痛薬と併せて飲んだビールの為か、食後 WRが体調不良を訴えてダウン。倒れたりだとか吐いたりだとか そんな粗相はしないものの、青白い顔でふらふらと玄関のドアを開ける。家が近くて良かった。風船で空を飛行する馬の夢を見ながら、朝までぐっすり。にちようびは いつもいつも無情に過ぎ去る。