この世のねこの代表がこのこ

3連休後の週明け。今日から 前の席にあたらしいひと(独と仏で社長だったひと)がやって来た。顔はアナゴさんに激似だけれども、さすがインターナショナルビジネスマン。朝、席に着いた瞬間には既にわたしの名前を知っていて「雪さん、これからどうぞよろしく!」と、目下も目下のわたしにさえも、颯爽とご挨拶してくださった。えーっと、前の席の方ですよね…失礼ですがお名前は…ゴニョゴニョ…、と初対面がグダグダであってもふつうに許容されてしまう日本社会においては、こういう些細な気配りこそが、そのひとの 価値を キラキラと 輝かせる!かなり良いひとだとお見受けしたので(←偉いひとに失礼)、テプラでその方のなまえシールを山のように製作し、ホワイトボードやファイルにペタペタと貼ってあげた。また、本来 経費削減の一環で、個人使用分の文房具の発注は控えるように言われているのだが、その方のデスクの上に置かれた手持ちのステーショナリー(黒革のペンケース、黒革の名刺入れ)に合うように、黒色のホッチキスを発注しておいた。このアナゴさんと仲良くなったら、憧れのパリ生活について色々聞いてみようっと!またともだちが増えた!ラン ラン ラン……

文章校正など、若干の残業ののち帰宅。ひさしぶりに家で夕食をつくる。WRも近頃でいえば奇跡的に早く帰ってきたので、「まかい(魔界)人」の話などに花を咲かせながら食卓をかこむ。食後、山になったペットボトルの空ボトルをリサイクルに出すために、WRとふたりで外に出る。びっくりするほど北風が強く、空気が冷え込んでいる。近所の喫茶店に寄り道して、少し本を読んでから家に戻った。そういう場所に住んでいるというのもあるけど、我が家の徒歩5分圏内だけでも、ブックカフェを名乗る店が3軒はある。しかし どこの店の本棚も、とても良いとは思えない。趣味の問題ということから離れてみても、とても良いとは思えない。膨大な書物を収容できる図書館は別として、不特定多数の為に開かれた本棚が、独自性を持ち、魅力的な表情を持ち、生き生きとして見えるとはとても思えない。

眠る前は、ねこ人形であそぶ。今のブームは、2泊3日の出雲旅行を、ふたりのねこで逐一再現すること。基本的に、WRとわたしのふたりだけで行動している分には、すべてが合理的につつがなく進行するのだが、そこに第三者が登場すると、途端にとんでもない不条理や謎の局面に見舞われ、狂気に彩られた異常世界が現れる。それはわたしたちが つまらない人間同士で凝り固まっているせいかもしれないし、お互いの閉ざされた世界の中で了解されている常識が、一歩外に出ればまったくの非常識となるからかもしれないし、原因は色々あるのだろうけど。その異常世界の模様を、ねこを使ってたのしく再現。しかし、床暖房のあたたかいところで くったりと横たわるねこのりんごちゃんのことを思い出さずにはいられない。ねこ人形のふたりを用いて「りんちゃんは びょうきなの?」と会話していると、かなしくて涙がポロリ ポロリ ポロ ポロ ポロポロ ポロリ ポロ。なんというカタルシス。だいすきなねこがいることと、そのねこのために泣いているわたしが わたしは好きなの。