歯医者と会社を往復

水曜日。やはり仕事と歯医者に明け暮れている。WRも当然仕事で遅く、朝と帰宅後の5分ずつしか顔を合わさないし、今週は友人に会う予定も隙もなさそうなので、ほんとうに仕事と歯医者以外、何もない。一日のスケジュールを円グラフで表現すると、80%が仕事で18%が歯医者で、最後に残った髪の毛1本分ほどの2%の隙間で、トイレとかシャワーとか家事とかをしている。

昼休み。来週から産休に入る先輩とのさいごのランチということで、珍しく年上の女性たちのグループに混じって食事に行く。さいごのランチと言いながらも、ご馳走するでもされるでもなく、上司の愚痴や業務上の不満が行き交う、至って一般的な昼食であった。メーカーなので、給料は薄給だけど、出産する女性社員へのサポート等、福利厚生が手厚いことで知られているけど、1度目の産休ならいざ知らず、それ以降2人目、3人目となると、やはり同じ部署に同じポジションで復帰できる可能性はほぼ皆無、というのが暗黙の了解となっているので、誰も口には出さないけれど、同じ部署で働くのはこれでさいごかもしれない、とみんな薄々感じていたりする。

企業側の建前としては“女性社員の子育てまでも積極的に支援する先進的な企業”イメージを流布することによって、大学生の就職したい企業ランクをアップさせ、株主や消費者に対してアピールしたいわけだけど、実際のところ“女性社員の子育て支援”が手厚く、社員の協力と理解も行き届いている企業ほど、結果として当の子育て女性社員を 戦力外、と見做さざるをえない矛盾がある。フレックスや時短勤務を駆使して仕事を頑張る彼女の大変さを重々理解しているがゆえに、彼女に対して(時間の制約という意味での)期待値を下げ、極力残業に繋がるようなたいへんな仕事はさせない、させてはいけない、いいよいいよわたしがやります、という方式になり、結果として そのひとは、期待ができないひと(=戦力外)となってしまう。周囲の中途半端な優しさや 理解への無理解(?)が、かえって生殺しの悲劇を巻き起こしているような……しかし子孫を産み育てることは、地球や宇宙の利益としては微妙だけれど、少なくとも国という単位で眺める限り、国民の三大義務をすべて満たせる偉業であることは間違いない。母子ともに健やかに出産の日を迎えられますように!

冒頭に書いた 歯医者18%は この日に限っては嘘で、今夜は歯医者は無かった。しかしクリーニング屋・コテ子の店にWRのワイシャツのピックアップに行かねばならず、閉店直前の20時に店の前に駆け込んだところ、店には灯りもなく閑散としている。水曜は定休日だった。引越し以来、コテ子の店には通い詰めているのに、実にうかつだった。水曜定休は知っていたけど、日々のあまりの速さに「今日は火曜日」と思い込んでいたのだった。その他、継続の定期を買おうと思ったら 乗り継ぎの関係で最寄り駅では購入できなかったことなど、この夜は興を削がれることが頻発。気分転換に夜の散歩に出ようと思ったけど、5分歩いたところで疲労に襲われ、引き返したりとか。

最近、定額給付金給付の書類が届いた。婚姻届を書いたときや住民票を取り寄せたときはちっともそういう感慨が湧かなかったのに、定額給付金給付書類に並んだ名前を眺めたときに、ああ 家族なのかー、家族なのだなー、と感慨が込み上げた。定額給付金なんて 貰えても貰えなくてもどうでもいいや、と思っていた癖に、いざ書類が届くと 他の請求書は2、3日開封すらしないで放置するのだが、すぐに開けた。でも 振込先は公共料金などの引き落としに使っている口座を指定したので、この給付金も今ある残高の中に一瞬にして紛れ込み、日々の電気代や水代やガス代へと ゆるやかに溶けてゆくに違いない。