あと100年で

またしても仕事と歯医者。会社にいても気分が乗らず、心ここにあらずなまま、一日中PCの画面を開いたり閉じたり、カチカチとやっている。ひとつのことに拘って、色々と思い出したり考えたりしているのだけど、あまりに深く瞑想すると それが希釈されて薄まっていきそうで、思いを巡らす直前で慌てて蓋を閉めたり、走り出しそうな思考を慌てて塞き止めたりしている。多分ひとには 進学だとか転居だとか結婚だとかのように、表面にはっきりとあらわれるターニングポイントと、それらとは完全に無関係に独立した、かたちのない世界でのターニングポイントの2つがある。後者は、大恋愛とか手痛い失恋とか誰かの死に遭遇するとか 人生観を変えるようなショックとも違う。言葉にするのは可能でも 他人には決して説明不可能な、自分自身の内奥の部分にしか関与しない、因縁とか宿命としか表現できないような、奇妙な事象や出来事のこと。2002年と2003年 桜の花の満開の下、けれど夕暮れの風が刺すように冷たい日だった。細胞の隅々まで浸透し、組織をすべて変えてしまうような出来事。忘れられるわけもないこと。考える、やめる、考える、やめる、記憶を反復するだけで 100年は生きていけそう。

夕方 バタバタと会社を駆け出して、歯医者へと急ぐ。今日こそクリーニング屋へ立ち寄って、WRのシャツを受け取らなくては。明日は金曜日で、幸運なことにクローゼットの中にはさいごの1枚のワイシャツが、吊るしてあったことは知っていた。なので「明日着ていくシャツがない!」という最悪の事態にはならないことは知っていたけど、でも、1枚しかストックが無かったら、何かがあったときに困る。何かって何だよ、と自分でも思うけど、わたしはれっきとした不安神経症患者なので 何事も保険をかけないと、絶対に不安だしやっていけないっつうの!保険を得る為の努力ならどんな泥臭いことでも歯を食いしばって成し遂げるので、(本末転倒ではあるが)そのへん打破して生きてるっつうの!クリーニングに立ち寄ったせいで、歯医者まで競歩で向かったっつうの!

連日連夜 残業のWRが、歯医者が終わって家に着いたら家に居た。20時半に家にいるなんて ここさいきんでは奇蹟のはやさ。i-tunesにCDを入れたりなど、束の間の自由をせっせと謳歌している姿に目を細めつつ、お風呂に入って ねこで遊んでから眠った。もちろん ねこの人形劇は「ねこの歯医者さん」の巻。歯医者の ねこんこ が、患者の ねんねこ の口の中に太い注射をしようとしたら、怖がった ねんねこ が暴れたために 劇薬が顔に注射されて(医療事故)、ねんねこ が天に召された、という話。天に召されて 頭上に天使の輪が浮かんだ ねんねこ は、霊界からも歯医者の ねこんこ を応援していた。心が とても やさしい。