フライデーの愚かさ

昨日の訃報でロスした仕事を必死で挽回。

今あるだけでも、通常の秘書業務の他に、来週半ばまでに仕上げる校正業務が200頁分くらいある。会社が発表する公式文書の校正業務に関しては、下請け数社に巨額の契約料を支払ってお願いしてはいるものの、結局、こういうものは弁護士に法務をお願いしたり会計士に監査をお願いするのとは根本的に違う。PR会社は校正が本業ではあってもそれを自称しているだけで“専門職”ではないし、仕事を任せている実感としても「さすが、プロに任せるのはやっぱり違う」と感心させられたことは一度もない。それでここ数ヶ月、今迄 無思考なまま下請けに出しっ放されていた校正の多くを下請けとの契約は維持したまま 全部わたしが行うことになってしまって、超忙しくてストレス過多。それじゃあもう今の会社なんてさっさと辞めちゃって、自宅に「雪プロダクション」とか何とか勝手に看板を掲げて、ネットでデータをやり取りしてインディペンデントしたい。会社も随分経費削減できるし、わたしはパジャマ姿で仕事できるし、良いと思うんだけど、と内心思っていたところ、先々週の飲み会で「今は辞めてもらっちゃ困るけど、こどもでも生まれたら でかいパソコン買ってあげるから、在宅で仕事しろ、おまえ」と言ってもらえてそれが実現したらラッキー!ポッキー!まぁ そんなみみっちい仕事に縋らなくとも毅然として生きていけるひとになっていることがいちばんの理想には違いないけど。

とにかく今夜は何の予定もないし、さいごのひとが帰る頃まで わたしも残業しようかなー、と思ってうなぎパイなどを食べながらしばらく頑張って作業を続けていたけれど、20時頃 友人から飲みに行く誘いが入ったところで急速に仕事への情熱が失せてしまった。飲みと決まれば、一目散に帰宅。今夜はWRも勤務先の飲み会で遅いと言っていたし、わたしも誰かと喋りたかった。

自分の意思ではないのだが、2日前に行ったばかりの先輩のお店に またしても行ってしまった。ビール飲んで、あとは延々と焼酎。女4人、男1人でこじんまりと愉しく飲む。金曜の夜は、明日を気にせずゆっくり飲めるからさいこう!って思っていたし実際毎週金曜日になるとそう思うけれど、冷静に考えると 金曜の夜は一週間でもっとも疲れが蓄積しているわけで、幾らゆっくり飲めるといったって 朝まで飲み続ける体力気力など、もう若くもないので物理的にない。金曜さいこう説が、段々自分の中で薄らいでゆく。もちろん、翌日が休日であることが相当のアドバンテージであることは否めないものの、金曜の夜だ!と開放的になり散々深酒を煽った末に2時や3時でおひらきにして下手にタクシー代を使って翌土曜日の半日を頭ガンガンの二日酔いで過ごすより、ウィークデーに少々の抑制しながら数杯のお酒を楽しんで終電で帰る、という方式のほうが、大きな枠で見れば自由を手にしたことになる、気がする、のだけれども、しかし、お酒を飲むことの醍醐味であるコミュニケーションの醍醐味は、そんなふうに「要領」では量れない部分にあるものなので、やはり翌日まで響く愚かさや痛手を含めてはじめて、金曜の夜は金曜の夜であるのかもしれない。

WRは この夜まさしく「愚かな金曜の夜」のセオリー通り、深夜2時にタクシーで帰宅。わたしはわたしで遅くまで飲んでいたけれど、それでもこの時間までメールの一本もなく飲んだくれているのは歓迎できることではないし だいいちWRはお酒に弱いので、歌舞伎町の路上で行き倒れて身包みはがされてるんじゃないかと(ウシジマくんを読みすぎているせいで)心配になったので、プライベート用と勤務先用の携帯に 闇金の督促ばりにガンガン電話をかけて、留守電にも吹き込んで、追い込みをかけた。棚からボタ餅というのかどうかわからないけど、飲んでいるあいだ中 酷かった偏頭痛が、この興奮で一気におさまる。


フジヤマごっこ