無花果

朝、WRと喧嘩。夫婦喧嘩をするのはわたしたちの醜い親の習性で、わたしたちが ただ震え上がって、或いはわけもわからず泣き叫んで、醜いその有様を傍観するしかない存在だった時代は もはや 今や遠くなってしまった。その醜さの渦中が我々であることに、あとになって愕然とする。わたしは黙ったり叫んだり手を振り上げたり破壊したりしない。それらの中のひとつもしなくても、醜いものは醜い。泣いたり落ち込んだり恐れたりもしない。ただ、いやになった。幾らうんざりしてもし足りることのない、ただそこにある、耐え難い醜さ。皮を剥いた無花果の果肉のような、ぽたぽたと血の滴る、直視できないグロテスク。醜いことで 死んだり殺されたりしないことが醜い。耐え難い。