ひとりでとんこつらーめんを食べる夜

夕方。16時半。部長から、来週月曜の午前迄に あたらしい部内プロジェクトの導入文を書くように命じられ、金曜の夜というのに残業。どうせ 何も用事が無かったからいいけど。

此の頃は雨が多い。しかし、ただ気温が高いだけの初夏のような5月よりは梅雨のような5月の方がいいやと思う。雨が降るとやけに空気が冷え込むので、長袖をちゃんと羽織って行かなくては。なんとなく、タイミング的にどのともだちからも遊んだり呑みに行こうというようなメールも来ず、来なければ自分から誘ってみれば良いのだけど 今に限ってはそれを考えると少し荷が重いような気がして、結局は金曜の夜にひとりだ。21時前に、仕事を仕上げて退社する。家の近く、(意外なことに、おそらく)街にひとつしかないとんこつらーめんのお店の暖簾をくぐり、温かい夕食とする。福岡に住んでいた時期には、とんこつらーめんなんて一度も口にしたことが無かった。福岡からこちらに戻って、今の街に住み始めてからもう何年になるかわからないけど、街でいちばん清潔で、ひとりでも問題なくカウンターに座れるラーメン店はこのお店しかなかったので、わたしは東京に来てからとんこつらーめんのお店に入るようになり、此処にしか入れないから、とんこつらーめんが好きになった。

傘を忘れてお店を出たけど、20秒ほど歩いたところで、今日いちにちで何度目かわからない通り雨が丁度良く降ってくれたので、ハッと思い出して傘を取りにお店に戻る。観光に来た風の、オーストラリア人かカナダ人の二人組の白人男性が、麺の水を大袈裟にバシャ!と切る店主の動きを見て、完全に瞠目していた。

今週は会社でひとが亡くなるし、家庭内で大喧嘩はするし、しごとは何だか忙しいし、さすがに疲労した。週末が近くなる嬉しさもまったく感じ忘れていたほど、あっという間の一週間。5月が終わる。