深夜2時 雨上がる

WRは朝から所用でお出掛け。わたしは眠る、眠りまくる。何処までも眠りつづけられる。よく眠っているのかいないのかよくわからないけどとにかく眠りつづけると、シーツの湿度と体温の境界が段々になくなっていくような気がする。帰宅しても、わたしがまだ朝と同じ格好で眠りつづけているのでWRは呆れていた。

眠っているだけでもおなかは減るもので、日がすっかり落ちた曇り空の街へ出て食事をする。労働の後のビールは美味しいというけれど、怠惰に過ごした一日に止めを刺すようなビールも 同じように美味しい。1時間ほどで食事を終えて、店を出ようとしたところで、学生時代のともだちから これから近所で飲むんだけど、と連絡が来た。迷ったけれど、わたしは出掛ける。WRはそのまま家に帰る。WRといると、自分がひどく社交的でお酒好きの人間に思えてくるけど、他のひとたちの中に入ると、途端に自分がひどく内向的でお酒を避けて殻に籠もった人間のように思えてくる。良くもなくて、悪くもなくて、そこには ただ相対的な存在でしかない自分がいる。

就職のために地元に帰ってしまった昔の知人と、卒業以来の再会をする。他にもちらほら、何年振りかで会う顔が見える。お互い顔は見知っているけど、懐かしい、というほど共有した思い出もないので、古い知人だけれども新しく出会った人たちのような気持ちで わたしはもう一杯ビール。午前2時に集まりは解散して、お洒落なミニカーに乗ってきた先輩が 同じ方向に歩いて帰る3人を車に乗せて帰ってくれた。途中、自転車で帰っていくともだちを車で追い越して、信号待ちでまた抜かれて、デッドヒートを していた。このひとたちといると、毎月 毎週 毎晩、同じようにこんな風だ。死ぬほど笑った日もあれば、そうでない日もある。何度繰り返しても ぜったいに思い出にはなりえない種類の、ビールの泡のような夜。夜ごとの夜。それをずっと繰り返している。