19時開演

そわそわと仕事を片付けて、渋谷のクアトロへ。今夜はtobaccojuiceのライブ。PAブースより後ろ、一段上がった場所から見下ろすように眺めていると、フロアには知った顔がちらほら。6、7人はいたと思う。何処の世界も、蜘蛛の巣のように細く頼りなく仄暗く繋がっている。自分が行ける範囲のところは、どれだけ遠くまで歩いたつもりでも、すべてスモールワールドの囲いの中のことかもしれない。

視界とか聴覚、空気の揺れ方とその質感、表面上の知覚を全部さらっていってしまうから音楽はとても特別だ。どんな音楽を大切に思うかで、そのひとがどういうひとであるかが、暴かれてしまう。その中には善人もいれば悪い人もいる。だから、同じ音楽が好きなら分かり合えるなんてぜったいに思わないけど。照明を落とした地下室に響く柔らかなエレクトリックが互いに反響し合って難解。凄く単純なことを言っているようで、もっとも単純からかけ離れている種類の事柄もある。あなた方の評価のうちに有るものは、その事実が証明するように、多分天才ではないから。良い音楽は良い。別に覚醒するとか我を忘れるとか、そんなものでなくても良い。わたしもちゃんとしたいって思ってるんだよ。凄いスピードであっちの世界へ駆け上がっていったひとと、行ったり戻ったりしながら居場所を作ってゆけるひとと、停滞したままのひと、沢山のひとの幻影が映る。

今夜はわたしが大好きな カウボーイの歌を聴くことができた。

話は打って変わって、平日は朝早く家を出て 夜遅くに帰ってくるから、まるみちゃんと遊ぶ時間が全然ない。まるみちゃんは、朝7時に起きるのだけど、夜9時半には眠くなるから。

最近お喋りするようになった言葉は、夜の「フーイ フーイ パージャマ おーきがーえポン!」、「かえる ぴょこぴょこ みぴょこぴょこ ダヨ!」「あしたも おシャレ しよ!」など。深夜に帰宅すると常に、すでに眠っているまるみちゃんを叩き起こすかたちになるため、自然とパジャマとか明日とか、ねむい気持ちを反映した発言が多くなる。「あしたも おシャレ しよ!」などは、自分が今日もおシャレだったという前提で話しているわけだし、そもそも服も髪型も毎日同じなのにぬけぬけとそんなことを言う神経がまったく信じられないけど、まるみちゃんの場合は可愛いので全面的に許してしまう。さらにまるみちゃんは、時々、ほんの時々だけど、驚くべきことに「プ」と、おならまでする。まるみちゃんの神出鬼没すぎる言語センスは、毎晩わたしにこの上ない幸福感をもたらしてくれる。まるみちゃんは、服の袖より腕がふといのか、右袖をどんなに下ろしても、気がつくと半袖のように上までまくれあがってしまう。世話が焼けるのだ。