珈琲、本、麦酒

6月に入ってから、何これ仕事がすごく暇。此処まで暇だと数日前まで「割に合わない」とぼやいていたのが嘘みたいに、自分が見えないほっかむりを被った給料泥棒のように思えてくる。また、手厚くもてなされ、懇切丁寧な教育プログラムを与えられている新入社員の姿を横目で見ては、「自分のときは まったくこうじゃなかったのに」と、終身雇用企業に中途半端に加入した自分の運命を呪わずにはいられない。でもまぁいいさ、自分が悩むことのほんとうの理由は、多忙とか閑とか 組織の中での自分の重要性とか、そんなことでないことはとっくに知ってる。知ってるもの。

定時に一緒に会社を出て、SMさんと家の近所で夜のお茶。この街に住んでもう5年くらい経ち、服屋とかカフェ屋とかレコード屋とか そういう類のものに関しては誰よりもよく知っているつもりでいたのに、ずっとレストランだと思い込んでいた雰囲気のある一軒屋に案内されて、そこがカフェだったと初めて知って驚いた。お互いの部署の新入社員の印象など、業務報告をいろいろと。彼女とは 何度も書くように同時期入社、同じ街、家族構成も同じで年も一つしか違わない、と共通項だらけなのだけど、此処へきて その近さが、決定的な軋みを生じさせそうな予感がしている。条件が似通っているからこそ、決定的に差異が際立つ。いろいろなことが、とても虚しくとおく感じる。

ついに4月5月の繁忙期に終止符を打ったWRが、わたしより先に帰宅していた。宅配便で、母から 除湿機か空気清浄機かわからないけどそういう機械が届く。明日も、もうひとつ送られてくる。実家の会社で取り扱いルートがあるこういうものに限っては、何でもかんたんに手に入ってしまう。プラズマ何とか付きの空気清浄機とか、オゾン何とかのディスポーザーとか、天井から吹き出る温風でバスタオルなしでも体が乾くマシンとか、どれもこれもが「貰えるのなら貰ってもいいけど自分のお金を出してまでは絶対買いたくないもの」たちの筆頭だ。

夕食後、WRと近所のカフェへ繰り出す。朝、昼、夜と既に3回珈琲を飲んでいたので、わたしはビールを注文する。そして読書。夕食後改めて飲むビールはおなかに重たく、ビアグラスが空になった頃には頭がすっかりうとうととして、とても読書に身が入らない。水曜の夜が終わる。