書物のなかのユトリロ

一日中 原稿書き。5月は何も始まらず 何も終わらない月なので、社長メッセージも なんだか言葉少ない。新型インフルの影響で、毎年恒例の世界漫遊経営報告の旅も中止だったので、更に喋るべき言葉が少ない。残業2時間程で さっさと原稿を完成させて、帰宅。金曜の夜に 洗濯物がカーテンのようになったリビングで、Tシャツにパンツ一枚というスタイルで、右手でネットサーフィンでもしながら漫然と過ごすのも良い。明日から 何もない土日。今週もひどく疲れていたので、空っぽの土日が目の前にあることが とても幸福。まるみちゃんを胸に抱っこしたり、抱き上げてぐるぐる回したり、膝に乗せたりして遊ぶ。もちろん ねことも 忘れずに遊ぶ。WRが帰宅して、玄関の鍵穴に鍵を差し込む音を聞いたら、リビング奥の寝室にさっと身体を隠して まるみちゃんだけをリビングに向けて 覗かせる。そうするとWRは「ただいまー。アレ?まるみちゃんだけ?雪んこは?雪んこ何処行ったの?」と ウロウロわたしの姿を探すのだ。毎晩 毎晩同じことを繰り返している。

何日か前、やっと苦行のような「1Q84」を読了したので、ミスタータンブリンマンを聴きながら、多和田葉子の文庫新刊を読む。文字と文字のその奥を覆う、重く燻った景色が好き。同時代の女性作家の小説を殆ど読まない。殆ど読まないけど、それらは全部 無駄に性的な原色か、または無駄に植物的な白っぽい小説のような気がしている。多和田葉子の色彩は、ユトリロの絵の具みたいに 重たくて暗い。物語の中の 白も緑も全部が埃っぽい色調で、わたしはそれがとても好き。

Bringing It All Back Home (Reis)

Bringing It All Back Home (Reis)

旅をする裸の眼 (講談社文庫)

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