森の家の湿度

にちようび。父の日のプレゼントが届いたらしく、父親から携帯メールに絵文字を駆使した 浮かれたメールが届いていた。文字と文字の間に、飾り数字で 3 と 9 が入力されていて、「ははは ムリして絵文字なんか使おうとして、間違えて数字なんかいれてるよ」と思っていたけど、ちょっと考えると 3と9で、サンキューと言いたかったのだと思う。凄くおじさんっぽくて ダサい。

WRには直接電話で話したかったのか、「あとで電話しまーす」などと書いてあった。WRは口には出さないけど明らかに面倒くさがっている。わたしも面倒くさい、けれども 父が喜んでいるなら、親孝行としては最良の結果だ。

大雨で 家の中に閉じ込められてしまった。事務員らしくパソコン疲れなのか、此の頃 くびかたこし が、油を注し忘れたブリキの人形の如く ぎしぎしと軋んでいるので、飛び込みで 駅前の怪し気な整体院へ行ってみた。スタッフ全員、日本語が片言しか通じないチャイニーズで、思いが伝わらず 敗北。ミッキーマウス柄の異様な上下セットの衣服を着せられ、あまり気持ち良いとはいえない生温いマッサージを小一時間ばかり拝受して帰ったけど、もう二度と行かないわ。

夜は、WRと 大学時代のお友達テツオとトミコと合計4名でご近所でお酒。普段は満席の居酒屋も、雨の日曜の夜は まったくお客の数が少ない。テツオから 福島土産の「檸れも檬」と箱に書いてある銘菓をもらう。古びたデザインの化粧箱も、たいへん梶井基次郎風。遠慮なく好きなことをお喋りしちゃったけど、鋭いツッコミを入れながらも、あー、トミコはテツオに優しいのだなー、と 感じた。テツオも檸檬くれるし皆に優しいけど、トミコもとてもひとに優しい。親切の方の優しさではなく、あたたかみだとか、理解の方の優しさというか。

2軒目は、路地裏の森の中っぽいカフェに移動。もう軽く十年以上読んでいないし、多分一生読み返さないと思うけど、この古民家の一軒家のカフェに来ると、吉本ばななの「キッチン」の家を思い出す。古くて、周りは草ぼうぼうで、古いサッシがガタガタと音を立てて、静かなひとたちが そのなかでお酒を飲んだり果物を食べたりしている場所。湿度で充満している。閉店時間になりお店を出ると、一日中降り続いた雨がやっと 止んでた。