曇り空の交響楽
会社の出口で待ち合わせをして、SMさんと一緒に帰宅。近所のカフェでビールを飲みつつお喋りして ついでに夕御飯も食べて帰る。職場の同僚であり、ご近所ともだちでもある彼女との会話は、いつも かなり現実的。会話というよりは、もはや情報交換に近い。初夏の夜は 20時でもまだ闇の明度が高く、夜が とても 浅い。
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浴槽にお湯をためて、お風呂に入る前に一瞬だけベッドに横になろう、と思ってゴロンとしたら、それが命取りで わたしはそのまま眠の淵に落とされてしまう。常に興奮しながら 誰彼構わず 甲高い声で矮小な自分語りを展開する同僚女性の昼間の様子を 今夜もまた わざわざ記憶の底から立ち上げて、あれは ぜったいに病気だわ、精神ではなくて何らかの脳機能の、と 確定する。わたしは彼女の病を確定できる。美しくも儚くもない病。機能不全、何らかの脳内物質の欠乏と過剰。
ねぇ、貴女は狂っていますよ。狂っているせいで あなたは こんなに惨めで顰蹙をかって貧しいのですよ。
他人のことを 狂っているだなんて、そんなこと云うあなたの方が 失礼であるし、狂っているのではありませんか?
わたしのことなんて 一切どうだっていいのです、此処に感情は介在しません、ただ貴女は狂っているというだけです。そのお陰で、組織にも、人間たちにも、不利益と損害を もたらしてばかり。
何故あなたにそこまで云う権利があるのですか? あなたは狂ってる!狂ってる!狂ってる!狂ってる!狂ってる!・・・
ほらね、すぐに感情を剥き出しにして混乱に陥る。醜い貴女のことが嫌い。貴女が誇りにしている こんな会社、わたしは辞めてしまおう。もう二度と出会うことはありません。貴女の病が いつか治癒されますように。もうすぐ ガーデンパーティーの はじまりの時間。ガーデンパーティーの招待状は 貴女には 一生届かないわ。さよなら!
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WRは この日 上司の送別会の為、遅い帰宅。翌朝 かならず二日酔いに苦しむパターン。飲酒にも 飲酒の後にも特段の快楽はない 身体は格好の餌食になる 喩えば ライブハウスからコンサートホールへと 進化して劣化するように スポットライト 名声が轟き歓声が響く 鮮烈な自己顕示欲のプラグイン 暇つぶしで浪費される不透明な日々 人生も身体も 既に溶けていく氷と何も変わらないわ 世界でいちばんひとりぼっちの子は誰か知ってる?
それが わたしたちの まるみちゃん という子