こぶたのいえ・銀座の迷い方

銀座で友紀ちゃんと夜のお食事。待ち合わせまで 1時間ほど時間が空いたので、セールたけなわのデパにて 靴を3足衝動買いする。靴の箱は邪魔になるので辞退したものの、それでも3足の靴を紙袋からブラ下げて歩くのって とても重たい。今履いている靴を合わせると、わたしは今 ひとつの身体に4足の靴を所有しているな、多いな、とか思った。足に履ききれず、手にまで靴を持っている。どうぶつは裸足なのに 人間は足を保護するために靴が必要で、なのに その靴のせいで一年中足を壊しているのはおかしなことだ。まるい靴もあるし、とんがった靴もあるし、革の靴もあるし、ゴムでできた靴もある。靴を3足買ったので、家に帰ったら 足を壊す靴をぜんぶ捨ててしまおう、と、靴箱を見たら多分勿体なくて捨てられないくせに、気を大きくしてそんなことを思った。

今夜は銀座なのに 全然銀座っぽくない「韓豚屋」というお店に行った。韓国風で、豚料理が出てくる店。店外、店内問わず、お店のキャラクターらしい、コブタのイラストで満ち溢れている。友沢ミミヨタッチのコブタ。ビール飲んで 豚を食べて、キムチや葉っぱもたくさん食べて、恋愛の話とか してた。わたしには特に目新しい恋愛の話もないので、友紀ちゃんの話を興味深く色々聞きだして、わたしは まるみちゃんや ねこたちや ドアラのことをたくさん話した。金曜の夜でないのが残念だけど、なまあたたかい夜風の中、2軒目のカフェまでふらふらふらと移動。途中、鵜飼の鵜のように 3匹の小型愛玩犬をヒモで繋いで、銀座の街を闊歩しているおんなのひとがいた。3本のヒモが 扇形にピンと張っている。

友紀ちゃんは 山手線に 乗って 帰る。わたしは地下鉄。有楽町の駅前でJRの改札目指して歩いていく友紀ちゃんとお別れしたあと、これまでに 何度同じ過ちを繰り返したかわからない「有楽町線トラップ」にまんまと嵌る。「有楽町線トラップ」とは、JR有楽町駅の周辺で メトロの看板を見つけて駅に降りて行こうとすると、わたしが乗りたい銀座線ではなく、わたしの帰路にはまったく縁のない有楽町線にしか通じていない、という、お酒を呑んで帰る夜にはあまりにも辛く厳しい仕打ちのこと。飲んでいるうちに有楽町方面に来てしまったら、目についたメトロの看板にうかうかと騙されず、面倒がらずに銀座三丁目の方まで戻るべきであるのに、終電も迫っているし 一刻も早く家に辿り着きたい一心で、いちばん近くに見えるメトロマークに吸い寄せられてしまう。降りていこうとすると有楽町線しかないので、チッ!と思って、次は その次に近いメトロマークに近づくのだけど、どれもこれも有楽町線。それで どんどん三丁目の方から離れて日比谷の方まで行ってしまって、それならと思って日々谷線で帰ろうと思うのだけど、完全に日比谷圏内に入ったところでいちばん近いメトロマークの階段を降りていくと、降りて降りて降りまくった後に、そこは23時以降は閉門してしまう出入り口だったりする。殆ど泣きそうになりながら、結局終電までちゃんと開門している出入り口を見つけるまでに 700メートルくらい歩き回った。へとへとになる。

帰宅すると、WRが少し 髪を切って 帰ってきていた。WRはいつもジャンプとかの主人公のように、前髪がギザギザになっているけど なんでだろう。