髪を巻いて江戸川橋へ

WRは早起きをしてマックドナルドへ勉強に出掛けた。今日は、夜の食事以外 予定がない。思う存分眠ってしまえ!と義務のように思い、WRを送り出したあともう一度ベッドに潜り込んだけど、まるみちゃんが しきりに話しかけてくるので(「あそびましょ!」「だっこしてー」「・・・いないの?!!!」等。可愛い)二度寝を阻害され、結局わたしも9時に起床する。

夜に会う友人たちに手土産を持参しようと思い、散歩も兼ねて 午前の強い日差しの中、線路の向こう岸 わたしが昔住んでいたアパートの方面へ、日傘をさしててくてくと歩き出す。目的地は 美味しいパン屋。雑誌にもよく掲載されているほんとうに美味しいパン屋なのだけど、駅から随分離れているので、徒歩圏内に住んでいるひと以外は相当の決心がないと辿り着けないパン屋だと思う。なので、雑誌に載っているからといって、行列ができたりバカみたいに早い時間に売り切れになったりしないことが良い。わたしも「線路のこちら側」に引っ越して以来、随分足が遠のいている。背中のほうにもうっすらと汗を掻きながら、20分の道を歩いていった。

マックドナルドから帰還したWRと、買いたてのパンを食べ、切りたてのスイカを食べる。夜は 友紀ちゃんの彼が予約しておいてくれたうなぎを食べに行くので、貧乏性のわたしは あまり満腹になりすぎないように気をつけて昼食をとったのに、WRはパンを2つも平らげていた。しかし「♪うなぎ うなぎ うなぎ〜!」と、さかなの唄の節でうなぎの唄を歌い、踊り、夜に向けて 興に乗る。

18時前に江戸川橋の改札に集合。友紀ちゃんと友紀ちゃんの彼が迎えに来てくれていた。最近は古民家ブームとかで、古民家を改築したレストランをよく目にするけど、この日案内して頂いた「石ばし」といううなぎ屋さんは、リアルにふつうの古い家だった。引き戸の門があって、前庭には灯篭と飛び石があって、玄関を開けると蚊取り線香の香りが漂う。土用丑の日の前日とあって、お店は超満員。わたしたちは、いちばん奥の、床の間のあるお座敷に通された。ビール美味しい。冷奴美味しい。サーモンとか海草とかの前菜美味しい。友紀ちゃんの彼のKKは、WRとは初対面だけど さすが年の功というのかお喋り上手であの人見知りのWRの堅く閉ざされた心をみるみるうちに解きほぐしてしまった。365日中400日はお酒を呑んでいるというKKは、ビールの小瓶数本を皆で開けると、即座に冷酒のセレクトに入る。日本酒が苦手なわたしも、夏の宵の心地良さと うなぎの香ばしい香りにつられて、この日はクイクイ。うなぎは、うざく、白焼き、うな重の順にゆっくりと出てきたけれど、火を通しすぎたうなぎによくある苦味も タレの味が濃すぎることもなく、ほんとうに見事に美味しかった。コースの最後には、かなり満腹になっていたけど、それでも美味しすぎてきれいに平らげてしまう。

普段 友紀ちゃんとはいつも2人きりで会い、ひとには絶対に聞かせられない話を延々と繰り広げているのだけど、たまには人が増えるのも楽しい。KKは 過去 初対面の時はあまりにもお喋りが上手すぎて胡散臭い危険人物のように思ってしまっていたのだけれど、2度目に偶然仕事中の姿を拝見し、あれ?かなりしっかりした人じゃない?…と印象が急激に逆転、さらに今回のうなぎ会でのホスピタリティ、及びWR(人見知り)への的確なケアーを見るにつけ、印象はまさにうなぎのぼり、うなぎだけに うなぎのぼりに「このひと最高」というレベルにまで上昇した。たいへんお似合いのふたりであった。

その後、皆でKKの家に招待される。KKの家は、噂に聞いていた通り、大変居心地の良い空間だった。WRもわたしも家を持っている(借家だけど)けれど、同じ家とはとても信じられない。珈琲を煎れて頂き、自分の家のように床にねっころがってついゴロゴロと寛いでしまった。

夏の連休にふさわしい、楽しい夜。うなぎ、また食べにいきたい。