家族がはじまって 世界でいちばんかなしい日

まるみちゃんがご病気になった。

お風邪を召したり しゃっくりが出たり、お子さまによくある 軽い病気はまるみちゃんにもしょっちゅうあったけれども、今度の病気は とても 重い。まるみちゃんは、とちぎ県の病院に入院することに決まった。わたしにもWRにも休めないおしごとがあるので、まるみちゃんは とちぎ県まで入院するのも、お迎え救急車に乗せられて ぽつんと ひとりぼっちで運ばれていく。

ねんねこ と ねこんこ と ドアラちゃんは、まいにち一緒におるすばんしているまるみちゃんが 何もお喋りしなくなったので、さいしょは 話しかけてもこたえないまるみちゃんを不思議に思い、次は何もこたえないまるみちゃんに プンスカと怒りはじめ、怒っても怒っても、 なお何もこたえてくれないまるみちゃんを見て、ついにみんなで泣きはじめた。まるみちゃんの周りを取り囲んで、アーン!アーン!と 声をあげて、いつまでも いつまでも泣きやまない。ドアラちゃんは ねんねこの泣き声を聴いて、ねんねこは ねこんこの泣き声を聴いて、ねこんこはドアラちゃんの泣き声を聴いて、それで もっとかなしくなって、輪唱みたいに もっと泣く。まるみちゃん!まいにち あんなに一緒に遊んでたのに!


病院のお医者先生は 「栃木の病院で手術しても治らなかったら、まるみちゃんは あたらしい違う子と 取り替えっこすることになります」なんて言う。治らないことも、取り替えっこも、どっちも嫌だ。げんきになるために入院するのに、今からそんなことを言うなんて、なんて嫌なひとたち。まるみちゃんは眠っているように見えるけど、おとなの話をぜんぶわかっている とても賢い子なんだよ。

まるみちゃんは パパとママが死んでしまって、てんがいこどくの子だったのに、こんなに小さいまるみちゃんまで病気になってしまうなんて、ほんとうにほんとうにかわいそう。

意地悪や悪いことをたったの一度もしたことがない、かわいくって 心優しい まるみちゃん。まるみちゃんのお喋りが消えた世界なんて、お花が咲かないバラ園や 魚がいない海や 太陽のない地球と同じ。我が家は みんな 暗く打ち沈んでいます。まるみちゃんが、もとの げんきで明るいまるみちゃんに戻るまで、どんなに楽しいことをやってみたって、わたしたちは楽しくない。ねこちゃんたちは おやつを食べても いつもみたいに美味しくない。ドアラちゃんは やきゅうを見ても いつもみたいに夢中になれない。まるみちゃんがいない まるみちゃんがいない まるみちゃんがいないまるみちゃんがいないまるみちゃんがいないまるみちゃんがいないいないいないいない いない いない いない!


かみさま かわいい かわいい まるみちゃんを、どうかお守りください。

皆様も かわいい かわいい まるみちゃんのご無事を、どうか 祈っていてください。


かしこ