甘い現実

にちようび、「トレインスポッティング」と「スラムドッグ$ミリオネア」を観てきた!

早稲田松竹も 久しぶりに立見が出てた。TSは90年代半ば頃、あまりにも流行しすぎてパルコなどにお買い物に出掛けると 前傾姿勢のユアンマクレガーに四方八方からガンを飛ばされまくりだったので、わたしだけは観るもんか、と思って観たことがなかった。ダニー・ボイル監督の映画は 主人公が糞尿に塗れるシーンがかならず一度は登場することがわかった。どちらとも、愉快痛快な娯楽映画でした。特にTSは、クスリに溺れる以外のことを何ひとつやってないところが酷く90年代的だよね、とWRと感想を述べ合った。日本じゃドラッグ塗れになりようもないから、その代わりフィッシュマンズナチュラルハイの空疎感へと繋がってゆく。インド人美人ね。インド人美人。インドジンビジン。




最近 職場のミスソフィアちゃんが暴れてて面白い。会議室ランチメンバーの中で、現在独身の女はミスソフィアちゃん(20代半ば)と Zさん(万人が認めるキチガイ/33歳)とUB(うざいババア/推定年齢43)の3名だけで、ソフィアちゃんは周囲との摩擦を避ける為に恋愛や結婚の話題を振られると、「意外にもまったくモテない」とか「結婚相手を探さなきゃ」とか常々自虐的に応じていて(奴らがそれを間に受けることは目に見えた話なので、わたしはそれもどうかと思うのだが)、そんな日々を重ねるうちに、予想通り段々にZさんとUBが、恋愛や結婚の話題になると、若くて可愛くて身奇麗なソフィアちゃんをまんまと含めて「わたしたちってさ〜」的な発言を端々で繰り返すようになり、最初のうちは笑って流していたソフィアちゃんも、この頃は奴らのあまりに度が過ぎる一括りっぷりに、そろそろ我慢の限界らしい。話を聞いていると、奴らは完全にソフィアちゃんのことを「すぐにでも結婚したい気持ちでいっぱいだけど、不幸にも出会いがないひと」と思い込んでいる、わたしは完全に他人事なので、こういう状況の推移を観察していると面白すぎる。ソフィアちゃんが呟く 二人への呪詛の言葉を聞いていると、いつも顔が笑いそうになる。

好きなひと同士が一緒にいるという意味での、真の友人関係ではこういうことってぜったいにありえないのに、職場となると誰とでも均質に付き合わなければいけないので、上にいる者も下にいる者も、共通の話題を為し遂げる為に、自分の立ち位置を平均値に近づけるべく、微調整を している。賢い者は馬鹿に合わせてツマミを調節し、己を馬鹿と知っている馬鹿も なるべく上の方へとツマミを捻る。背伸びしている方は、多分「このひともわたしと同じ」と思えることが心地良い。しかし、(傲慢なことに)下々の民の下へ降りていって会話している側にしてみると、こんなふうに ほんとうに「同じ」だと信じ込まれるなんて、たまったものではないのだろう。ほんとうの意味で「摩擦を避けたい」のならば、勿論その先にこんなストレスが待ち受けていることも覚悟の上でなくてはいけないけれども。それにしても、ソフィアちゃんが25年の人生で仮に100人の男から憧れられてきたと想定すると、ZさんとUBは各々33年と43年の人生において、残念ながら0人…、いや 幾ら何でも0人なんてひとはいないから、思い切って大目に見積もって0.4人……か……?などと悩まざるをえないくらい、あらゆる意味で驚異的な存在だから、凄い。この際、男にモテるモテないなんて小さな世界の話では済まない、まるで恋愛沙汰の無いボヴァリー夫人のような性格のあの二人、男とか女とかじゃなくて、人間に モテない。しかしそもそも 結婚できるかどうかが魅力の尺度でもないのは自明のことで、とにかく何が言いたいかって言うと、女会社員のランチタイムのお喋りなんて、脳が腐敗するほど無害でくだらなくって、そんな日常の繰り返しだっていうことです。