38.3℃ マリアンナ メヒコ

“しごとの後は、中央線沿線にて、Fのパーティーナイト。会場は 蔦が絡まる古い古い木造家屋で、目には見えない埃が舞い飛んでいたのか、席に着いた途端、すぐに喉が痛くなった。それでもFのパーティーは今夜もたいへん素晴らしかった。”

一つ前の日記に書いた、この日この時 この古い木造家屋で、まさか流行絶頂のインフルに感染していたなんて、このときにはまだ思ってもみないことだった。

この夜から出始めた咳は翌日更に激しさを増し、更には頭痛、倦怠感、筋肉痛と風邪特有の症状がぞろぞろ出てきて身体を蝕み始めていたけど、10月最後の金曜日、よりによって第2四半期の決算発表当日であった為、「会社を休む」という選択肢はこれっぽちも念頭になく、マスクをつけて(給食当番のようで可愛い)、熱でふらふらしながら一生懸命しごとに励んだ。そして土曜の朝になっても38℃の熱が一向に下がる気配がないので病院に行く。鼻の中に20㎝の金串をすーっと入れるインフル検査が 痛い。a型のインフルエンザだった。即座に脳裏に浮かんだのは、新型インフルエンザのことがメディアで報道されはじめてから、全社的にインフルエンザ感染や予防に激しくナーバスになっていて、音フルエンザに関する様々な通達が飛び交い、あらゆる対策が講じられているから、(たとえ新型でなくても)「決算の日 インフルエンザだけど 会社 来てた(テヘ)」とか言ったら、白い防塵服を着た謎の部隊が具に登場して、その日わたしが触れた場所全てを消毒して回るか、下手したら焼討ちされてもおかしくないだろうなー、ということで、だからもう土日で会社を休む必要はないし、皆にはぜったいに黙っていよう、ということだった。タミフル 物凄い 効いた。でも、ベッドでゆっくり休息しつつ、月曜日会社に行ったら、わたし以外全員インフル感染でモヌケの殻だったり死人が出たりしてたらどうしよう、とか、悪い想像ばかりを巡らしたり、食欲が出ない代わりに 巨大ならーめんどんぶりの淵に腰掛けておべんとうを食べる夢などを見たりしながら、眠ったり 起きたり、また眠ったりしていた。

月曜日 わたしのインフルは誰にも感染してなかった。バカみたいな顔してみんないた。


きのうは 新しいおともだちができた。マリアンナだよ マリアンナはメキシコシティから来たの。睫毛が孔雀みたいに長くて可愛い。金髪と緑色の目が ほんとうに可愛い。わたしも外人の女の子になりたかったよ。マリアンナはアルバイトがしたいって 云う。マリアンナは日本人の女の子になりたいと 云う。マリアンナはテレビを観ながら 日本人の女の子の喋り方の真似をする。右足と左足がバラバラ マリアンナって すごく可愛い。