みんな奇遇

週末は母への贈り物を探し探して、先週に続き代官山と表参道を駆け巡った。ほんとうは一日で済ませてしまえる用事だったのに、取り置きバッグをピックアップしたり、ききちゃんにプレゼントするお洋服を探したりして、結局2日間ともお昼はお買い物に 費やす。自分には何も優れたところがないと思っていたけど、この2日間に渡る散財によって、わたしは「消費者」としてはかなり優秀な部類であることが判明。秋から冬にかけて、わたしはほんとうに貧乏になる。いっそアルバイトでも はじめてみようかしら!

土曜の夜は 三宿にて Fのパーティー。今夜は素晴らしい趣向を凝らしたお誕生日会だった。勿論、夢みたいに 楽しい。此処のパーティーは、いつもいつも風変わりで、この日の夜は 参加者の点呼や詩の講義があった。暗闇の中、みなひっそりと背中を丸めて黒板を眺めて座っている。わたしは、パーティーだけで会えるともだち、hさんとSさんの隣に座った。秘密の行事が、厳かに進行していく。前回貰って帰ったインフルエンザも もうすっかりと完治しているよ。HさんとSさんは わたしのことを「サラサラ髪のクラスのマドンナ」と呼んでくれるので、わたしは嬉しくなって、紅茶とホワイトチョコのドーナツをあげた。

寒くない夜道を歩いて帰る。真夜中営業のスーパーマーケットで、WRの為に外国製のポテトチップスを2つ買う。夜でもあかあかと灯りがともる中古レコード屋の前を通りかかったとき、中でレコードを物色している 会社の同僚のSMさん夫妻にバッタリと会う。5分ばかり立ち話をして、家へと急ぐ。WRは大学時代のゼミの同窓会だとかで、早稲田で飲んで わたしよりももっと遅くに帰宅してきた。

日曜日。まるで今日が昨日みたいに、デジャブの中で生きるひとみたいに、代官山と恵比寿と原宿を昨日そっくりに駆け回ったあと、15:30 伊勢丹の正面玄関で友紀ちゃんと会う。今日は映画。「ファッションが教えてくれたこと」を観る。変なタイトル。「理想のカレに出会える100の方法」みたいなタイトル。でも、こんなバカバカしいタイトルに反して、映画の中身は結構良かった。人間関係だとかそのパワーバランスは、5歳の子にも理解できるくらいに単純明快。めちゃくちゃ退屈なお話だけど、これはモードを見るための映画なので、画面に映る服のデザイナーをあてるゲームを心の中で行い続けてさえいれば、全然飽きない。退屈しない。AlexanderWangのお洋服が 欲しいな!

映画館を出て三丁目付近の新宿通りを歩いていると、近所に住むおともだち Mちゃん夫妻に声を掛けられた。昨日、今日と、やたらと知人にバッタリ出会う。Mちゃんは夫のTくんと腕を組み、首に毛皮をぐるぐる巻いて、四谷方面へと消えて行った。Mちゃんもこれからパーティーに行くのかしら。わたしは友紀ちゃんとH&Mで買う前から既に後悔しながら安い服をお買い物して、暗くて静かで素敵なカフェバーで、ボウル山盛りのオニオンリングをたらふく食べた。映画のことや、お買い物のことや、家族のことや、恋人のことや、何やら色々なお喋りをしたよ。

此処のところ、遊んでばかりいても毎日とても忙しかったから、壁際のソファにもたれていた日曜が終わる間近のこの夜に、はじめてリラックスできた気がした。時間のことも予定のことも、すっぽりと頭から抜け落ちた時間。



わたしは 何も読みたくない。

喋りたくない。応えたくない。誰にも侵犯されたくない。

書きたいことなら、たくさんあるけど。此処には決して書かれないような種類のことが。


たくさんある。